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2013年の問題作!~実在の事件からまさかの実写化まで~

今週のクローズアップ

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今週のクローズアップ 2013年の問題作!~実在の事件からまさかの実写化まで~

 2013年もいつの間にかあと10日ほどで終了。今年も数多くの衝撃ニュースが世の中を沸かせた中、実際に起こった事件やまさかの実写化など、さまざまな話題で映画ファンに衝撃を与えた問題作をピックアップ!

実在の事件を映画化!その意味とは?

『凶悪』
白石和彌監督

 「新潮45」編集部による戦慄(せんりつ)のノンフィクション「凶悪-ある死刑囚の告発-」の映画化作品。ある死刑囚から、発覚していない殺人事件の存在を告白されたジャーナリストが真実に迫るその過程と、おぞましい事件の詳細が描かれる。

 罪を告白するのは、別の殺人事件で死刑を宣告されたヤクザの元組長。映画では、彼が「先生」と呼ぶ不動産ブローカー主導の下、土地や金を手にするため老人たちを次々と殺害していくさまが描かれる。殺した相手の体を解体し焼却炉で処理、老人に強引に酒を大量に飲ませ殺害……など現実に起き、死刑囚の告白がなければ発覚しなかったであろうという殺人事件には、ノンフィクションというだけに身震いするばかりだ。

 金のため、人の命を良心の呵責(かしゃく)なく奪っていく凶悪コンビを演じたのはリリー・フランキーピエール瀧。リリー・フランキーが凶悪な本性を穏やかな表情の下に隠した殺人鬼を不気味に表現すれば、ピエール瀧はいつキレるかわからない粗暴なヤクザを迫力満点に演じ切る。彼らに殺される老人役のジジ・ぶぅや、その夫の殺害を依頼する妻を演じる白川和子などキャスティングも絶妙の一言。主人公のジャーナリストを演じた山田孝之も、事件の凶悪さに引っ張られるかのように精神のバランスを崩していくさまを好演している。

 映画『凶悪』は1月6日(月)より下高井戸シネマにて大ヒット凱旋上映ほか全国公開中

 

今年最も衝撃的と言っても過言ではなかった一本
(C) 2013「凶悪」製作委員会

「凶悪」コンビを演じたリリー・フランキーとピエール瀧
(C) 2013「凶悪」製作委員会

『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』
ディーン・フジオカ監督・主演

 2007年に起きた、イギリス人英会話学校講師リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件の犯人である市橋達也の手記を基にした実録ドラマ。彼の2年7か月に及ぶ逃亡生活をたどる。日本の安全神話を揺るがす事件を起こした殺人事犯が主人公ということで、映画化したこと自体の是非含めた論争を巻き起こした。

 実際の事件を描くといっても暴力的なシーンはほぼ登場せず、映画は市橋の独白と彼への糾弾、そしてその逃避行が交差する構成となっている。なぜ殺したのかではなく、なぜ逃げ続けたのか。少しおとなしすぎるともとれる作風だが、逮捕当初、黙秘を貫き食事にも一切手をつけなかったことも話題になった謎に包まれた市橋の心理を追うには、殺人そのものよりも、その逃亡劇にフォーカスする手法が効果的だったのかもしれない。

 監督と主演を務めたのは、 台湾を中心に活動し、5か国語を操る国際派俳優ディーン・フジオカ。実際の市橋と比べると少しイケメンすぎるが、一見何を考えているのかわからない、小物のようでいて深い考えがあるかのような市橋の雰囲気を見事に再現しているのではないか。人相を変えるためはさみで下唇を切り取る「自己整形」手術のシーンは思わず顔をしかめるなかなかの出来映えだ。


日本中が注目した逃亡劇を追う
(C) 2013「I AM ICHIHASHI 逮捕されるまで」製作委員会

 

『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』
DVDは2014年4月2日発売
価格4,104円(税込み)
発売・販売元・TCエンタテインメント
(C) 2013「I AM ICHIHASHI 逮捕されるまで」製作委員会

現実にも起こり得る…社会問題を描く

『コンプライアンス 服従の心理』
クレイグ・ゾベル監督・脚本・製作

 2004年にアメリカのファストフード店で実際に起きた事件を映像化。自称警察官による「お宅の従業員が客から金を盗んだ」という1本の電話を信じた店長ならびに従業員たち。電話の指示に従い、無実の少女を身体検査と称して全裸にして性的暴行を加えるなど、信じ難い行動に駆り立てられていく様を詳細に描く。

 ゾベル監督はこの衝撃の事件を、権威者の指示に従うことで、人間が通常では考えられない残酷行為にさえ及んでしまうことを実証した「ミルグラム実験」の要素を加えて映像化。社会規範や企業倫理(コンプライアンス)を重んじる本来善良であるはずの人々が、従順さゆえに、いとも簡単に人の道を踏み外す恐怖に戦慄(せんりつ)を覚える。

 
「コンプライアンス-服従の心理-」
2014年1月24日Blu-ray発売
¥4,700(税抜)+税
発売元:アット エンタテインメント
販売元:東宝
(C) 2012 Bad Cop Bad Cop Film Productions, LLC

『日本の悲劇』
小林政広監督

 小林政広監督が年金不正受給問題に挑んだ意欲作。部屋に閉じこもって死を選ぶ老人と息子のたどる悲劇が描かれる。親の死をひた隠して年金を得るというのは、一体どのような精神状態であるのか。およそ想像もできないような問題を小林監督は真っすぐに見据え、年金にとどまらない社会問題を次々と浮かび上がらせる。

 息子のため死を選ぶ父親を仲代達矢、職もなく父の年金を頼りに生きる息子を北村一輝が演じており、二人の演技合戦は圧巻の一言。ぐいぐいとスクリーンに引き付けられ、ニュースの中の出来事でしかなかった家族の不幸が、いつでも自分の身に起きる可能性があるのだということを感じさせる一本になっている。

 映画『日本の悲劇』は全国順次上映中:オフィシャルサイト

 

年金不正受給をテーマに、ある親子の悲劇を描く
(C) 2012 MONKEY TOWN PRODUCTION

自ら死を選ぶ父親を仲代達矢が熱演した
(C) 2012 MONKEY TOWN PRODUCTION
アリかナシか?まさかの実写化&リメイク実現!

『HK/変態仮面』
福田雄一監督

 週刊少年ジャンプで連載されたあんど慶周のギャグ漫画「究極!!変態仮面」が、まさかの実写映画化。一見普通の男子高校生が、女性のパンティーを頭にかぶることで正義の変態仮面に変身。驚異的な身体能力と変態的ひらめきによって繰り出す、変態奥義によって悪を懲らしめる姿を描く。

 パンティーをかぶりブリーフ一丁に網タイツ姿という、歩く性犯罪といったビジュアルのヒーローを実写化したというだけでも衝撃。主人公に抜てきされた鈴木亮平は、1年以上にわたる肉体改造を敢行。コミックスファンの誰もが「変態仮面だ!」と認める肉体美と、見事に再現された股間の「おいなりさん」も喝采を呼んだ。

 何よりも問題なのは(?)本作はあの人気俳優の小栗旬が実写化を熱望したことをきっかけに実現したという事実。小栗は鈴木を変態仮面役に推し、脚本協力にも名を連ねる大活躍。またそれ以上に衝撃なのは、劇中である重要な役にふんした安田顕が、誰よりもぶっちぎりで変態だったことである。


鈴木亮平の見事な肉体と安田顕の怪演が話題を呼んだ
(C)あんど慶周 / 集英社・2013「HENTAI KAMEN」
販売サイト


『HK/変態仮面』
DVDは発売中
通常版 税込み3,990円 
豪華版 税込み 6,090円
販売:東映 
発売:東映ビデオ
(C)あんど慶周 / 集英社・2013「HENTAI KAMEN」製作委員会
販売サイト

『死霊のはらわた』
フェデ・アルバレス監督・共同脚本

 映画『スパイダーマン』を手掛けたサム・ライミの出世作にして、ブルース・キャンベル演じる伝説の主人公アッシュを生み出した傑作をリブート。近年続いた名作ホラーのリメイク企画の中でも、映画ファンの間でトップクラスの話題を呼んだ一本だ。

 若きライミが持てる全てを投入し、コメディーからホラー、アクションなど全ての要素が良い意味でごった煮となったオリジナルに、新鋭アルバレス監督はひたすらシリアスにアプローチ。その結果はやはり(?)賛否両論が飛び交う結果となった。シリーズのキモ中のキモであるアッシュが不在な点もマイナス要素に働いてしまったか。しかしCGをできるだけ排し、特撮を駆使してガチなスプラッターに挑戦した姿勢は評価したい。実際素晴らしい残虐描写にあふれており、観客層が限られるにもかかわらず、18歳未満鑑賞禁止の成人指定で公開した配給会社の心意気にも感謝したい。


『死霊のはらわた』
ブルーレイ&DVDは発売中 
価格:4,980円(税込み)
発売・販売元:(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 

『死霊のはらわた』
ブルーレイ&DVDは発売中 
価格:4,980円(税込み)
発売・販売元:(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

『ガッチャマン』
佐藤東弥監督

 1970年代に放送され絶大な人気を博したアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」が実写化。熱狂的なファンを多数抱える作品だけに、発表の時点から大きな話題を呼び、公開されるとファンの間で賛否両論が巻き起こった。

 批判の一方で見どころも数多く、特に新宿を舞台にしたガッチャマンたちの激闘は、日本アクション史に名を残す出来栄えといっても過言ではない。また『APPLESEED アップルシード』荒牧伸志がデザインしたGスーツも目を見張る出来で、こちらに関してはアメコミ映画に引けを取らない完成度だった。

 またガッチャマンを演じた松坂桃李綾野剛剛力彩芽濱田龍臣鈴木亮平ら注目の若手俳優たちの奮闘にも目を見張る。特に主役を張った松坂は、かつて特撮モノで培ったポテンシャルを十二分に発揮していたのではないか。興行での苦戦が報じられた部分もあったが、今一度その真価を再確認するべき意欲作といえるだろう。


『ガッチャマン』
DVD発売・販売元はバップ
(C)タツノコプロ / 2013 映画「ガッチャマン」製作委員会
(C)タツノコプロ / 2013 映画「ガッチャマン」製作委員会
特設サイト

 

『ガッチャマン』
DVD発売・販売元はバップ
(C)タツノコプロ / 2013 映画「ガッチャマン」製作委員会
特設サイト

※番外編:将軍様が本気だ!?衝撃の設定に驚愕!

『エンド・オブ・ホワイトハウス』
アントワーン・フークア監督

 ジェラルド・バトラー演じる元シークレットサービスが、ホワイトハウスを占拠してアーロン・エッカートふんする大統領を人質に取ったテロリストに戦いを挑むサスペンスアクション。舞台は特殊だが、いわゆる閉鎖空間で展開する『ダイ・ハード』型アクションの一つだ。

 しかし衝撃的なのは敵が北朝鮮であるという部分。しかもこの北朝鮮軍団がかなり手ごわく、ホワイトハウスをあっさりと占拠すると、リンカーン記念館周辺のアメリカ人をガンシップによる機銃掃射で血祭りにしていく鬼畜ぶりで、観ている側はいろいろな意味でハラハラさせられる。

 対するジェラルドが演じた主人公も大奮闘。一切のためらいなく敵をなぎ倒してさまは、『300 <スリーハンドレッド>』で演じたスパルタ王そのものといったところ。バイオレンス描写にも気合が入っており、観客をいっときも飽きさせないオススメの一本となっている。ちなみに今年は、ローランド・エメリッヒ監督が同じテーマのアクション映画『ホワイトハウス・ダウン』を発表。ホワイトハウスが占拠されるアクション映画が同じ年に複数公開されたことこそ、一番の問題かもしれない。

 今年もさまざまな話題を提供してくれた問題作の数々。批判的な意見も数多い一方で、例えば実際の事件を扱うことは、多くの人々に社会問題について改めて考えさせる機会になる一面もある。また毎回物議を醸すアニメ・コミックスの実写化には、来年以降も判明しているだけで「ルパン三世」「進撃の巨人」と話題作が並ぶ。満場一致の傑作となるのか賛否両論が飛び交うのか。来年はどんな問題作が生まれるか期待したい。


この後、大惨劇が起きます。
(C) 2013 Olympus Productions,Inc


『エンド・オブ・ホワイトハウス』
ブルーレイ&DVDは発売中 各税込み4,935円(ブルーレイ) / 3,990円(DVD)
(C) 2013 Olympus Productions,Inc
ジェラルド・バトラーが大奮闘!
(C) 2013 Olympus Productions,Inc

文・構成:編集部 入倉功一


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