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第11回 『エンダーのゲーム』『オールドボーイ(原題) / Oldboy』『あなたを抱きしめる日まで』

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世界の映画産業の中心、アメリカの最新映画情報を現地在住ライターが紹介する「最新!全米HOTムービー」。今回は『エンダーのゲーム』『オールドボーイ(原題) / Oldboy』『あなたを抱きしめる日まで』を紹介します!(取材・文:細木信宏)

今、最もHOTな映画はコレ!

『エンダーのゲーム』

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映画『エンダーのゲーム』』より - ©2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

作家オースン・スコット・カードが1977年に発表した短編を1985年に長編化した作品が「エンダーのゲーム」。その小説を原作としたのが本作『エンダーのゲーム』だ。小説「エンダーのゲーム」の評価は高く、ネビュラ賞(アメリカSFファンタジー作家協会が授与するSF作品を対象とする文学賞)、ヒューゴー賞(世界SF大会でファン投票により決定するSF、ファンタジー、ホラー作品を対象とする文学賞)をダブルで受賞。さらに世界中で翻訳され大ヒットし、何度となく映画化の話があったが、さまざまな問題により実施できなかった。映像化不可能と思われていた本作だが、ようやく『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』『国家誘拐』『ツォツィ』のギャヴィン・フッド監督により、その壮大な世界観を実写化できることとなった。

そのストーリーは、かつて異星人からの侵攻を退けた人類が、その第2次侵攻に備えるべく、地球を救う戦士として世界中から優秀な子どもたちを集めたバトルスクールという養成訓練所を設立。その中で誰よりも秀でた子どもを司令官として育てていく過程を描いていくもの。そして、その秀でた少年エンダーを演じるのが『ヒューゴの不思議な発明』で主演のエイサ・バターフィールド。エンダーの何事も吸収する集中力と先見性が、エイサの目力からもにじみ出ていて、観客はエイサの卓越した演技力に惹き付けられる。さらにグラッフ大佐(ハリソン・フォード)、ラッカム将軍(ベン・キングズレー)との絡みも見逃せない作品になっている。難産の本作だが、フッド監督の手腕をぜひ体現してほしい。

次にブレイクする映画はコレ!

■『オールドボーイ(原題) / Oldboy』

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映画『オールドボーイ(原題) / Oldboy』でマリー役を演じたエリザベス・オルセン

日本の漫画「オールドボーイ」を韓国の鬼才パク・チャヌク監督が2003年に実写化した『オールド・ボーイ』は、第57回カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得し、10年の時を経て今度はスパイク・リー監督がその秀作を再映画化したスリラー。オリジナルでは、ある日何者かによって妻と幼い子を持つ男が拉致され、その後15年間も監禁された間に自分が妻の殺害容疑を掛けられていたことを知り、解放後に復讐(ふくしゅう)を図っていく。そんな復讐(ふくしゅう)劇を韓国の名優チェ・ミンシクが熱演した。アメリカ版の本作では『ノーカントリー』で注目を浴びたジョシュ・ブローリンが主演として挑戦している。

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映画『オールドボーイ(原題) / Oldboy』でチャッキー役を演じたマイケル・インペリオリ

アメリカ版のリメイクは、もともと巨匠スピルバーグ監督とウィル・スミスにより企画が進められ、パク・チャヌク監督のオリジナル作品をリメイクせずに、土屋ガロンと嶺岸信明の原作「オールドボーイ」を基に映画化する予定だったが、版権を獲得できずに企画倒れとなった。ところが、その時から脚本に携わっていた脚本家マーク・プロトセヴィッチがオリジナル作品を尊重しながら独自の構成をしたのが本作で、スパイク監督も今作はリメイク作品ではないと主張しているほど異なった点は多い。さらに映画『第9地区』『エリジウム』で名をはせたシャールト・コプリーが男を閉じ込めたクセのある悪役にも挑んだ注目すべき作品に仕上がっている。

ライターイチオシ映画はコレ!

『あなたを抱きしめる日まで』

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映画『あなたを抱きしめる日まで』より

本作『あなたを抱きしめる日まで』は、ジャーナリスト、マーティン・シックススミスが、10代で未婚の母となり強制的に修道院に入れられ、幼い子と引き離された女性の実話を執筆した原作「The Lost Child of Philomena Lee」を映画化している。

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映画『あなたを抱きしめる日まで』でマーティン役を演じたスティーヴ・クーガン

そんな繊細で難しい題材を、『クィーン』のスティーヴン・フリアーズ監督が手掛けている。そして、長い間苦労を抱える母親フィロメナを演じたのが名女優ジュディ・デンチ、その息子の行方をフィロメナと共に追っていくジャーナリスト、マーティン役にはスティーヴ・クーガン。スティーヴは脚本も共同執筆している点にも注目だ。

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映画『あなたを抱きしめる日まで』で若い時代のフィロメナ役を演じたソフィー・ケネディ・クラーク

今作では、日頃はお人よしの性格で、時には感情を押し殺しながらも意思を徐々に相手に伝えていくという難しいフィロメナ役を、そつなくこなすジュディの演技は秀逸。その演技の素晴らしさは批評家の間ではアカデミー賞主演女優候補に挙げられているほどだ。さらに、辛辣(しんらつ)な観点で物事を見つめるマーティン役のスティーヴが素晴らしく、全く対照的な性格を持つフィロメナとマーティンに、ジュディとスティーヴは真実味を持たせることに成功し、お互い絆を深め合っていく関係が感動を呼ぶ。無駄なシーンを排除したスティーヴン・フィリアーズ監督の演出も見どころだ。

【今月のHOTライター】

■細木信宏 / Nobuhiro Hosoki
海外での映画製作を決意し渡米。フィルムスクールに通った後、テレビ東京ニューヨーク支局の番組「ニュースモーニングサテライト」のアシスタントとして働く。現在はアメリカのプレスとして活動中。

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