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サードシーズン2010年7月

私的映画宣言

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私的映画宣言 サード・シーズン7月

筆者の近況報告

斉藤博昭

アダム・サンドラーと同じフロアで踊りまくり、アンジーブラピのキッズたちと一緒のホテルに宿泊(遭遇はできず)。新スパイダーマンに決まったアンドリュー・ガーフィールドにインタビューなど、わずか1週間にレアな体験が凝縮……。
7月のオススメは『ぼくのエリ 200歳の少女』(7月10日公開)。

前田かおり

かつてはホラーものに心底ビビっていたが、だんだんと免疫ができ、某恐怖映画専門監督に取材したときに「バカ笑いしていいんです」と言われて以来、笑い飛ばす楽しさに開眼。そんなわたしにとって7月公開の『ザ・ホード -死霊の大群-』(7月17日公開)と『ゾンビランド』(7月24日公開)最高! ゾンビじゃないが『ぼくのエリ 200歳の少女』もぜひ!

鴇田崇

韓国の三谷幸喜と日本人が勝手に言っている(?)チャン・ジン監督を取材。以前の異常な韓流ブームは理解不能など、なかなかの毒舌家にして正直者ゆえ書きにくいネタばかりを得たが、韓国映画界事情がわかって勉強になりました。
7月のオススメは『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(7月3日公開)。

小林真里

チャイニーズ・シアターでの『スプライス』ワールド・プレミア参加後、高級ステーキ・ハウスで開催されたアフター・パーティーに出席。ギレルモ・デル・トロ夫妻らと2時間にわたって飲み語らい、その後VIPのみのアフター・アフター・パーティーになだれこむ。刺激的な夜でした。
7月のオススメは『ぼくのエリ 200歳の少女』(7月10日公開)。邦題はとんでもないことになっていますが、映画は必見の傑作。

今 祥枝

6月末にニューヨークで舞台6本を鑑賞。同行の先輩ライター氏のおかげでアル・パチーノ『ヴェニスの商人』を目撃し、古巣に戻ってきたテレビスターたちの活躍にも心ウキウキ。前シーズンからのヒット作「NEXT TO NORMAL」は題材も楽曲もキャストもすべてが好みでいまだ心酔中。
7月のオススメは『インセプション』(7月23日公開)。

トイ・ストーリー3


(C) DISNEY / PIXAR

カウボーイ人形のウッディたちが織り成す、おもちゃの世界を描いて世界中で大ヒットした『トイ・ストーリー』シリーズの第3弾作品。持ち主のアンディの元を去っていくおもちゃたちの友情を、感動的かつダイナミックに描き出す。前2作の監督だったジョン・ラセターが製作に携わり、メガホンを取るのは『ファインディング・ニモ』『モンスターズ・インク』の共同監督、リー・アンクリッチ。おもちゃたちが繰り広げるアクション満載の冒険に胸が躍る。

[声の出演] トム・ハンクスティム・アレンジョーン・キューザック
[監督] リー・アンクリッチ

斉藤博昭

10点前2作から蓄積された愛着もあるけど、冒頭からおもちゃキャラに怒とうのごとく共感させる展開はさすが。ゴミ清掃車の兄ちゃんや、保育園に通う少女の住所とか、わずかなネタを伏線に使いまくる、計算され尽くした脚本に感心しながら、ラストは自然に涙が流れる仕組みになっているのだ。2Dと3Dの両方で観たけど、どっちでも十分に楽しめると感じた。3D批判するわけじゃなく、要するに映画で一番大事なのはストーリーってこと。技術よりハートってこと!

前田かおり

9点「おもちゃはいつか捨てられる」……1作目から、逃れることのできない運命と向き合ってきたウッディ。2作目から11年たち、3D映像でも楽しめる本作のアクションシーンはパワーアップし、冒頭からツカミはOKだ。いつもながらおもちゃたちのキャラ描写はうまいし、おもちゃがひがむとあんなに性根が曲がるのかと思うと恐怖! エピソード的には1と2の焼き直し部分もあるが、盛りだくさん感も含めて、おもちゃへの愛を描いた物語の終幕としては美しい。第4弾はやめよーね。

鴇田崇

9点本当は10点を付けたいけど、悲し過ぎるのでマイナス1。ジョン・ラセターが口を酸っぱくして言っているように、ストーリーとキャラクターが抜群にマッチしていて言うことなし。おもちゃをぞんざいに扱う赤ちゃんのアイデアは、シリーズ1作目の短編『ティン・トイ』のころからあったな~と思いつつ、シリーズを観返して映像技術の進歩にもビックリ。置かれた運命を受け入れましょう的なテーマの映画が多い気がするのは不況のせい?

小林真里

7点おもちゃたちの主人であり掛け替えのない存在、アンディとの別離と、おもちゃたちのきずなを描いたシリーズ最高傑作。キャラクターたちのイントロ&復習を兼ねた冒頭のアクション・アドベンチャー劇といい、『スパイ大作戦』さながらのスマートでアイデアが詰まった脱出劇といい、動的なスリルには感服させられるとともに大興奮。友情と別れというエモーショナルなドラマは、『リトル・ミス・サンシャイン』の脚本家の起用が見事にハマって、過去作とは違う深い感動と郷愁を呼び起こす。

今 祥枝

8点アニメ全般が苦手。とはいえ、ピクサーでもジブリでもドリームワークスでも、観れば大抵はクオリティーの高さに感心し、うっかり泣いたりもしてしまうのだが(笑)。夏映画の中でも鉄板の本作も、まさに期待通り。おなじみのキャラクターや色とりどりのおもちゃたちが動き回る様子は本当に楽しく、大人だからこそ余計に胸を打たれる物語はピクサーの真骨頂で毎度のことながら素晴らしい。一点、ピンクのクマのぬいぐるみが予想外の根性曲がりで、ちょっと怖かったかも。

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シュアリー・サムデイ


(C) 2010「シュアリー・サムデイ」製作委員会

実力派俳優の小栗旬が、初めてメガホンを取った青春暴走ムービー。ごく普通の高校生5人がある事件をきっかけに泥沼にハマり、そこから協力して人生の一発逆転を狙う様子をスピード感あふれる映像で見せる。脚本を手掛けたのは、小栗の代表作でもある『クローズZERO』シリーズの武藤将吾。出演者も小出恵介勝地涼綾野剛鈴木亮平ムロツヨシら豪華メンバーが顔をそろえる。彼らが思うままに大暴れするパワーに圧倒される。

[出演] 小出恵介勝地涼鈴木亮平
[監督] 小栗旬

斉藤博昭

4点冒頭の学校を爆破させようとするシークエンスから、小栗「監督」は映像の観せ方、アクションの撮り方で初メガホンとは思えないセンスとさえを発揮する。問題は「こういう画が撮りたい」「このネタ入れたい」って思いが強過ぎるせいか、物語を伝える意思より、ノリを優先している印象が大なとこ。結末でカタルシスに至らないのも残念。ヤクザの怖さとか細部にリアル感がないと、おバカネタも笑えない気が……。次作に期待を込めて1点オマケします!

前田かおり

5点縁ある人々を集めて、楽しく作ったんだろうなという現場の空気と、初監督作で全力投球した小栗旬の頑張りは伝わる。でも、バカで最強と言われても、20歳過ぎの男がウ●チネタは幼稚でしょ。特にバカネタ担当の勝地涼の三枚目ぶりはイタい。舞台役者の吉田鋼太郎演じるヤクザもセリフはVシネで、スクリーンからはみ出す勢い。誰か止めろと思うけど、タイトル通り「いつかきっと」の思いで、やりたいことをてんこ盛りにしてやり遂げた小栗旬。次はちゃんと引き算しようね。

鴇田崇

4点小栗旬が初監督をしたことは知られているが、それが『シュアリー・サムデイ』というタイトルの認知につながっているのかが微妙だった本作は、青春のキラメキを取り戻そうとする若者の青春映画で、総論的に言うと、どこかで観たような舌触り。どうせなら荒くてもいいから小栗旬ならではの独自性が欲しかったな。各論的に言うと、下ネタがやけに多くて閉口したけど、個人的になじみのあるJR上野駅近辺でのロケ映像は好印象でした。

小林真里

2点モテたいがためにバンドを始めたのに文化祭が中止になったから、という何ともすてきな理由で教室を占拠。しかも誤爆で退学って、すわテロリスト? 爆発していなくても大問題です。後先を考えない、無責任でわがままな青春の衝動ってカッコいいね! バカは最強で何をやってもいいんだぜと信じる、大変志の高い若者たちの姿を描いた下品で稚拙(ちせつ)な青春映画の最高峰。監督の演出がないからなのか、役者が各々自分勝手に演技をしている部分も真にスリリング。

今 祥枝

4点やりたいことがいっぱいあって、それを全部詰め込んだ盛りだくさんな内容。頑張って作ったんだろうなと思うし、勢いのある部分は魅力もあると思うけど、いかんせん「男子の悪ふざけ」的な印象はぬぐえない。勢いやノリで作った未熟な作品を、お金と時間を費やして観に来る観客の気持ちにもなってほしいものだ。興味深かったのは、品のないバイオレンスシーンを含めてどこか懐かしいVシネマ風であること。監督・小栗旬の趣味なのか?まあ人の好みだから何を参考にしても別にいいのだが。

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インセプション


(C) 2010 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.

『ダークナイト』の気鋭の映像作家、クリストファー・ノーラン監督がオリジナル脚本で挑む、想像を超えた次世代アクション・エンターテインメント大作。人の夢の世界にまで入り込み、他人のアイデアを盗むという高度な技術を持つ企業スパイが、最後の危険なミッションに臨む姿を描く。主役を務めるのは『シャッター アイランド』レオナルド・ディカプリオ。物語のキーマンとなる重要な役どころを『ラスト サムライ』渡辺謙が好演する。斬新なストーリー展開と、ノーラン監督特有のスタイリッシュな映像世界に引き込まれる。

[出演] レオナルド・ディカプリオエレン・ペイジマリオン・コティヤール
[監督・脚本] クリストファー・ノーラン

斉藤博昭

7点クリストファー・ノーラン監督作では、『メメント』以来の脳髄の奥まで刺激される映画。ただ、「夢の中で夢を見て、さらにそこでも夢を」というマトリョーシカのような構造は、セリフと状況に必死でくらいつかないと置いてけぼりになる可能性アリかも。かなり体力も要求され、その分「映画を観た」という満腹感は得られます。これだけの豪華キャストと予算を使い、超斬新なアイデア&ビジュアルに、解釈も観る人それぞれの結末と、あくまで作家性を追求するノーランの姿勢は好き。

前田かおり

6点夢の中に入ってアイデアを盗むスパイ……、何かすごそうだが、仕組みや計画など説明されることがかったるい。と思っていたら、登場人物の一人が「おれ、計算苦手だから。で、夢の中だと何時間いることになる?」と聞いたセリフに笑った。『ダークナイト』で当てて、観客の気分をすくう余裕ができたか、ノーラン。映像的にはパリの街角が爆発したり折りたたまれたり、目を見張るものはあるし、ほぉ、JRが使われてるよ……とか楽しいところもある。でも、レオがまたまた妻に罪悪感ある夫キャラってのは芸がない感じ。

鴇田崇

8点アホみたいな発言だが、1回観ただけでは、よくわからん。確かにノーラン監督が言うように、観て初めて話題のテーブルに上がれるものの、何をどこから話せばいいのか考えなくてはいけないほど、観念的で不親切な語り口の映画に。ただ、気軽に観流せない小難しい気分にさせる超大作ではあるけど、体系的ゆえによく考える楽しみはある。それと目の前の世界がグニャグニャ曲がる異質な映像体験だけでも十分面白い。観てマイナスなことは少ない一作だ。

小林真里

8点夢というツールを通じて人の心に入り込み、アイデアを盗むばかりか植え付ける、というワンアイデアを拡張して超大作にしてしまったクリストファー・ノーランはあっぱれ。その導入や結末がオマケに過ぎないにしても、心の中に入り込んでいく過程の重層的な設定と描写は天才的で、深層に突き進むにつれ映画の世界にどんどんのめりこんでいった。舞台のほとんどが非現実的な世界であるため、ルール無用でリアリティーに欠けるが、下手なSFやサイバーパンクに走らなかったのは好感が持てる。映画の鍵を握る一人相撲なラブストーリーは無理があるけど……。エレン・ペイジが素晴らしい。

今祥枝

10点よほど難解な作品を予想していたが、華もスケール感もある娯楽大作に仕上がっていて久々に見応えのあるハリウッド大作を堪能した。「夢」という題材も好みだが、ジョセフ・ゴードン=レヴィットキリアン・マーフィといったキャストもめちゃ好み。しかし何よりも心引かれたのはプロットで、人の潜在意識内で展開する夢の4つの階層がパラレルで立体的に浮かび上がる終盤の映像世界は圧巻! 手に入るならぜひとも脚本を読んで研究してみたいものだ。

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筆者プロフィール

今 祥枝斉藤 博昭前田 かおり
中山 治美鴇田 崇相馬 学
高山 亜紀小林 真里山縣 みどり
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