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2004年8月

私的映画宣言

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ライター
久しぶりに親戚の叔母さんに会ったら、すっかりヨン様ファンだった。どの作品を言っても、製作年をぴたりと当てるハマりっぷり。母も冬ソナ観てるし、姉妹揃ってヨンフルエンザ感染か。ちなみに国立でレアル・マドリードの試合を観て以来、私はベッカムファンになっちまいました。あんなに好きだったロケ・サンタクルスより、いまやベッカム。妹もベッカム好き。ミーハーは遺伝子なんだろうか!
ライター
『ヴァンヘルシング』のPRで来日したウィル・ケンプを取材。聞きしに勝る美しい顔に、なるほどバレエ界の貴公子と思ったけれど、日本の印象を聞いたら、いきなり「ホテルのトイレの便座は温かかった」と尾篭な話題に。ああ、プリンスには似合わない……。しかし、日本の優れたトイレ事情に驚く海外スターは多いそうで。
ライター
映画『お父さんのバックドロップ』の取材で、念願の“日本のフィーゴ”こと宇梶剛士さんを取材。顔の彫りが深~い、体が大き~い、やっぱりフィーゴに激似だよ~と、もう大興奮。映画でプロはレスラーに扮しております。これもまた似合うこと。記念すべき宇梶剛士初主演映画。ぜひ!
 LOVERS

日本でも大ヒットを記録した『HERO』のスタッフが再び放つアクション超大作。名匠チャン・イーモウ監督の元、『恋する惑星』の金城武、『HERO』にも出演したチャン・ツィイー、『インファナル・アフェア』のアンディ・ラウといったアジアの3大スターが結集し、唐王朝衰退期の中国を舞台に、運命に翻弄されながらも真の愛を貫こうとする男女3人の切なくも美しいドラマを紡ぎ出す。イーモウ監督ならではの映像美と、ワイヤーワークを駆使した華麗なるアクションが見どころだ。

日本公開:8月28日(丸ノ内ルーブル 他)
上映時間:1時間59分
配給:ワーナー・ブラザース映画


カレンダーから抜き出たような美しい背景と超豪華衣装の数々。金城はどこまでも美しく、チャン・ツィイーのダンスシーンは期待を上回る素晴らしさ。料金以上の価値あり。ただストーリーが陳腐過ぎる。チャン・ツィイーが男装した途端、欲情する金城や、彼女の髪の匂いをやたら嗅いでるアンディ・ラウ、彼らがフェチ過ぎるのも笑えた。アンディに関しては役も衣装も損していた。彼が切ない恋心を吐露するシーンは見せ場であり、観客としても泣く気満々なのだが、ヘンテコな烏帽子のせいで、いまいちピンとこない。唯一、彼がかっこいいと思えたのはキス・シーン。金城よりグッと上手いぞ、おおぅ?と思ってたら、チャン・ツィイーの細~い指が彼の鼻の穴にズボッ。ある意味、歴史に残るラブシーン。 


色といい衣装といい、『HERO』の時以上に絵作りに懲りまくったのか、その豪華絢爛な美しさにはため息が出ます。ホント綺麗だ、うっとりしました。とにかく、場面場面が印象派の絵のよう。でも、その中で演じる肝心要の役者が絵に負けてるように感じたのは私だけか。まあ、ヒロインのチャン・ツィイーは負けてないものの、いたぶられたり、肌を必要以上に露出させたり、妙に色っぽさをアピールってのは、サービスか? アクションも、冒頭の豆踊り(観ればわかる)に始まって、華麗にキメ過ぎの連続。「ありえなーい!」と絶叫したくなる。で、クライマックスの壮絶なバトルに至っては描きたい意図はわかるが、またしてもやり過ぎ。感動のラブ・ストーリーとして涙を流すべきところなんでしょうが、爆笑を通りこして失笑もん。ファンの皆様は別として勧めるとしたら、「珍品として、ぜひお楽しみください」 


前作『HERO』はジェット・リーVSドニー・イェンというアクションがデキる2人の闘いをバリバリCGを使っていたり、『羅生門』を彷彿とさせるチャン・イーモウならではのドラマ性の強いストーリーなのに、『少林サッカー』並のぶっ飛びアクション連発で、どうもそのバランスの悪さが気になった。その点、今回はGOOD! ストーリー&アクション共々、人間臭さがちゃんと出ていて、これぞイーモウ監督が目指していたアクション映画だ! という感じがする。かと言って、巨匠然としておらず、ツッコミ所満載なのも嬉しい。闘っていたらいつの間にか膝下が雪に埋もれるくらい時間が過ぎていた……とか。ありえねぇ。イーモウ監督って意外とお茶目。

 リディック

『ピッチブラック』から5年後の設定で繰り広げられる壮大なギャラクシー・アドベンチャー。前作同様、汚名を着せられた脱獄囚リディックを演じるのはヴィン・ディーゼル。生き残りのジャック役はキース・デヴィットからアレクサ・ダヴァロスへバトンタッチされた。CGのみならず巨大なセットを作り上げ本物の質感にこだわり、『ロード・オブ・ザ・リング』や『スターウォーズ』シリーズを上回る170億という製作費を投入。

日本公開:8月7日
(丸の内ピカデリー2 他)
上映時間:1時間58分
配給:東芝エンタテインメント / 松竹



全くのオリジナルだから、観客は原作を読んで予習というわけにいかない。だから説明がやったら多くて、前半は押し寄せてくる情報量にぐったり。悪の軍団がネクロモンガーで、リディックはそれを倒すと言われているフューリア族唯一の生き残り。舞台もヘリオン星系、UV星系、惑星クリマトリアとコロコロ変わる。ふ~っ。『ピッチブラック』はもっとシンプルだったような……。やっと面白くなってくるのは上映1時間後くらいから。リディックの脱獄劇や、マクベス夫人真っ青のタンディ・ニュートンの悪妻ぶり、そして最強の敵との対決。一応、1話で話は終わっているけれど、完結ではない。ここまで世界観拡げて、観客を引きずり込んでいるのだから、絶対、続きを作るべき。っていうか、見せて。


イギリスの大女優ジュディ・デンチに語りをやらせると、宇宙を支配しようとしてる集団の名やら星人の名やら、そういったキャラもんの名前がもっともらしく聞こえてしまうんだから凄い……なんて妙なところで感心。VFXをたっぷり使った上に、北米一のスタジオに巨大なセットまで作ったあたりのこだわりにも感心。でも、悪キャラたちの衣装やら飛び道具には笑います。というか、マッチョなヴィンがどったんばったんのアクションを見せて、演技派俳優たちが陰謀、裏切りのやけに人間臭い話をかっちり見せるという、バランスがいいんだか悪いんだかの構成。何より全編、ヴィンのセクシーボイスのようなねっとり感が漂っている。おかげで、不思議な後味が残ります。ところで、タンディ・ニュートンの濃い目張りに注目。痛そうなメイクシーンはたまりません。


すごいな。まだ出演本数はそう多くないのに、"ヴィン・ディーゼル映画"という一つのジャンルを作っている。今、主演俳優の名前を聞いただけで作品の中身が分かるのは、スティーブン・セガール(オレ様映画)、ジャン・クロード・バンダム(肉体バカ)ぐらい。そこにめでたく仲間入りしたディーゼルだが、系統的にはセガールと一緒の"オレ様映画"。舞台を宇宙に設定しても、オレ様は宇宙一のワルで、宇宙最強なのもオレというスタンスは変わらない。で、オレ様は望んでいないのに、宇宙を牛耳る存在になっちゃう。オレ様パワー全開! ホントに自分が好きなんだね。このままオレ様道を突っ走れ! 私は彼の後は追わないだろうけど(笑)。

 ヴァン・ヘルシング


モンスター・ハンター“ヴァン・ヘルシング”とドラキュラの運命の対決を描くスペクタクル・アドベンチャー。監督は「ハムナプトラ」シリーズのスティーヴン・ソマーズ。ヴァン・ヘルシングを演じるのは、セクシー男優のヒュー・ジャックマン。クールなヒロインにケイト・ベッキンセール。3人のドラキュラの花嫁は迫力満点で特にその飛行姿には要注目。

日本公開:9月4日
(日劇1 他)
上映時間:2時間13分
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給




ケイト・ベッキンセール、近ごろ富にヴィクトリア・ベッカムに似てきた。胸も急にデカくなったし、もしかして同じ執刀医か? そして『アンダーワルド』のときには気づかなかったけど、かなり運動音痴? 走る姿があまりに鈍くさく、危機感まるでなし。一応、ヴァンパイアに命狙われてる役なんですけどねぇ。ヴァンパイアといえば、演じているリチャード・ロクスバーグが美男子でないのも大問題。カツラも似合ってないし、美女をはべらかしてはいるけど、これじゃただのエロ親父だよ。本物の美男子、ウィル・ケンプは登場シーンこそかっこいいけれど、あっという間に狼男になっちゃうし……。ストーリーが結構、面白いだけに残念なこと多し。ま、ヒュー・ジャックマンさえ、かっこよきゃ、いいのか。


吸血鬼に狼男、ジキルとハイドにフランケンシュタイン……。ホラーキャラクターが勢ぞろいして、大バトルしたらどうなるか? というところで、監督の観客を楽しませようっていう意気込みは買う。買うが、ノリが悪党揃い踏みの『リーグ・オブ・レジェンド』みたい。VFXを使いまくって派手なアクション・シーンをてんこ盛りにした挙句、何を見たんだか覚えてないってところも似てる。大体、主演したヒュー・ジャックマンが何のために戦ったのかも、見終わった時には忘れてしまうし、ウィル・ケンプ扮するウルフマンの悲劇も描ききれてない。まあフランケンシュタインの話には涙誘われるものがありますが……。それにしても、ケイト・ベッキンセールはどうしちゃったんだか。『シューティング・フィッシュ』のときはキュートだったのに、どんどん改造が進み、この分だと末はシェールのような、別人になりそう。恐怖!


ワケありで超人的な肉体を持った男という設定が『X-MEN』のウル・バリン役とどうもかぶるが、ヒューがカッコイイから許す。相変わらず触りたくなるような、イイ肉体していらっしゃること。うふっ。ヴァンパイア映画にふさわしく、ドラキュラ伯爵のリチャード・ロクスバーグにウィル・ケンプと、美男揃いなのも嬉しい。なのにヒロインが、ケイト・ベッキンセールかよ! 『月下の恋』とか『シューティング・フィッシュ』の頃はかわいかったんだけどね。ハリウッド進出して何を勘違いしたのか……。もともと華のある顔じゃないし、守ってあげたいと思わせるタイプではない。何でハリウッドでこんなに重宝されているんだろう? 処世術を知りたい。

 ステップ・イントゥ・リキッド

全世界に衝撃を与えたサーフィン映画の最高傑作『エンドレス・サマー』から40年。その製作・監督を務めたブルース・ブラウンの息子デイナ・ブラウンが、サーフィンに魅せられた人々を2年半の歳月をかけて追ったドキュメンタリー。プロサーファーの華麗な技だけでなく、多種多様なサーファーの生き方や哲学に迫る。ハワイ、タヒチ、コスタリカなど世界各地の波の迫力と美しさ、最新の映像技術を駆使して捉えた疾走感溢れるサーフ・シーンは圧巻だ。

日本公開:8月14日
(シネマライズ)
上映時間:1時間27分

配給:グラッシイ





すごい技術のサーファーも登場するうえ、世界中のサーフィンちょっといい話が満載。話に合わせて、ガラリと変えている音楽もセンス抜群だ。絶妙な調子のナレーションも気が利いている。「アイルランド」で宗派を越えて、子どもたちがサーフィンする話には思わず目頭が熱くなった。私の一番のお気に入りは「テキサス」のタンカーサーファーたち。親父たちが船でできた波で、のびのびサーフィン楽しんでて、観てる側も気持ちいい。サーファーって、面白そうなことや善行に、何の抵抗なく即、行動に移せちゃう人々。スポーツの内容的に、「次のチャンスが来たら」なんて思ってぼやぼやしてたら、波が終わっちゃうからなんでしょう。サーフィンしたいというより、サーファーになりたいと思った、切実に。


「好きこそ、物の上手なれ」なんてことわざがあるけど、登場するサーファーたちはまさにそれ。で、実際、天才的なテクも披露してくれるので、その迫力には釘付けになる。それに世界各国、探せばいろんなところで波乗りができるとわかり、「へえー」を連発してしまった。とくに、タンカーが作る波でサーフィンするなんてのは驚いたし、いい年した大人たちが実に嬉しそうに波乗りしてるのには、見てるこっちまで愉快になる。個人的には28年間一日たりとも欠かさず海に通い、波乗りするオヤジのエピソードやアイルランドで、宗教の違う子どもにサーフィンを教える兄弟たちの崇高な目的には感動。といっても、この作品はそんな人々を淡々と撮っているだけ。声高に何かを訴えるわけでもない。そんなところにも作り手の良心を感じた。ホント爽やかです


戦争とか、将来の自分の人生に不安を抱いている人が世の中にたんまりいる中、世捨て人のように人生の大半を海の上で過ごしている世界のサーフィン・バカが大集合。お気に入りバカは、巨大船が通った後に起きる波を、「待ってました!」と言わんばかりに嬉々として波に乗るテキサスのおっちゃんたち。隙あらば、そこに自分たちの快楽を見つけようとする前向きな姿勢が好きだね。まぁ正直、全編、延々とサーフィン・バカたちを写していくだけなので、もうお腹いっぱい! 勘弁してください……という感じなのですが、下手な映画より、「世の中に全く役に立たない自分だけど、生きていいんだ」というような生きる希望を与えてくれるはず。サーフィン・バカに乾杯!

 華氏911
銃社会、アメリカの問題点を追った『ボーリング・フォー・コロンバイン』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞やカンヌ映画祭55周年記念特別賞を受賞したマイケル・ムーアによる新たな意欲作。自著「アホでマヌケなアメリカ白人」の内容でもある9.11テロを軸に「何故アメリカが標的になったのか」「テロ後のアメリカの動き」「ブッシュ一族とビン・ラディンを含むサウジアラビア有力一族との関係」などを追うコメディタッチのドキュメンタリー。ミラマックスの親会社ディズニーから配給拒否されたことでさらに注目を集めた。

日本公開:8月14日
(恵比寿ガーデンシネマ 他)
配給:日本ヘラルド映画/ギャガ・コミュニケーションズ




ブッシュの失態を編集で面白おかしく観せるのかと思ってたら、それは全体の2割ほど。ドッキリ番組の延長のようなアポなし取材もおとなしめ。膨大な資料映像を小手先で調理する印象の強い監督だったが、今回は取材対象者に根気良く付きあい、本音を引き出し、感動的な場面も多々あった。特にアメリカを支えている人の代表格であろう、フリントのおばさんが忘れられない。日本の政治家には誰も期待してないが、国を信じて、自分の息子を軍隊に入れているような愛国心あふれるおばさんの気持ちを踏みにじるような真似してはいけないよ。本作がドキュメンタリーでないのなら、おばさんの涙は嘘なのか。編集に関していえば、ブリトニー・スピアーズがバカ丸出しで、彼女だけはムーアに怒ってもいい。


マイケル・ムーアは人をコケにするのが上手いなーとつくづく思った。ナレーションのツッコミには笑わずにいられないし、音楽も絶妙。休暇を楽しむブッシュにゴーゴーズの『Vacation』、航空母艦を訪問した時には懐かしの『アメリカン・ヒーロー』のテーマソング。選曲のセンスがナイスです。この作品が偏向しているという非難に関してはそうだと思うが、反ブッシュという目的ありきで作ったならば当然。そんなことより、バカをさらすことになる映像を若い頃からさんざっぱら撮らせてたブッシュは脇が甘いというか、やっぱりまれに見るバカと逆に確信。そんなバカに付き合う日本の首相もドアホ。そんな首相しかいない日本って……ああーあ、お先真っ暗。難を言えば、『ボウリング・フォー・コロンバイン』の時のように、もっと自分の足でツッコミ取材をして欲しかったけど、日本じゃこんな映画できないし、作れたとしても自主規制で公開できないわな。


カンヌ映画祭に続いて2度目の鑑賞。これだけ世界中を賑わせて、政治に関心を向けさせた功績は認める。リハビリしている米国の帰還兵の姿や声は、某首相も絶対聞くべき。でも“映画”としてはどうだろう。ムーアによると、ブッシュ一家がビン・ラディン一家と親しいから、9・11の首謀者はウサマだったけど、彼をかばうようにして「イラクとアルカイダは関連ある」とでっちあげ、イラク戦争を起こした……らしい。じゃあ、なんでそんなに懇意にしていた家の一員が、9・11のような事件を起こしたのか。そこの部分の説明がない。相変わらずいろいろ詰め込み過ぎて、論点がどんどんズレていくし。ブッシュともっと激闘したいから、突っ込ませる余地を与えたのか?

イラスト:micao

 

 

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