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北朝鮮の過酷さ描く『トゥルーノース』の海外戦略に西野亮廣も共感「世界を狙わず生き残る道はない」

『映画 えんとつ町のプペル』の西野亮廣と『トゥルーノース』の清水ハン栄治監督
『映画 えんとつ町のプペル』の西野亮廣と『トゥルーノース』の清水ハン栄治監督

 アヌシー国際アニメーション映画祭コントルシャン部門に選出されるなど、注目を浴びる3Dアニメーション映画『トゥルーノース』の公開記念トークイベントが18日に丸の内TOEIにて行われた。本作で監督を務めた清水ハン栄治と共に『映画 えんとつ町のプペル』の製作総指揮・脚本・原作を担当した西野亮廣が登壇し、映画作品の海外戦略について思いを交わし合った。

北朝鮮の人権問題に挑んだ衝撃の3Dアニメ『トゥルーノース』場面カット【画像】

 6月4日に公開された『トゥルーノース』は、北朝鮮の強制収容所を舞台に、いわれなき罪で収容所に送られた一家の過酷な日々を描く3Dアニメーション作品。ドキュメンタリー製作などに携わってきた清水監督が、収容生活を生き延びた脱北者の証言を基におよそ10年の歳月をかけて作り上げた作品となる。

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 本作を試写で鑑賞したという西野は「すごくおもしろかったです」と感銘を受けた様子。清水監督自身も西野のジャンルを問わないマルチな活動に注目をしていたようで、「僕の場合は映画をアクティビズムにつなげようと思って。『映画を観た』というエンターテインメントで終わるのではなくて、そこから派生するものを期待していたんです」とコメント。さらに「みなさんがツアーで北朝鮮に行けるわけではなく、現在起こっている人権蹂躙(じゅうりん)を直接目撃した人はいないわけなので、映画を観た人を目撃者にしようと思ったんです」と作品作りを通じて目指したものを明かす。

 さらに、清水監督は二人の共通点について「一つ目がアニメに携わったのが初めてだということ。僕もアニメは初めてで、もちろん興行成績は雲泥の差かもしれないけど、アヌシー国際映画祭というアニメ業界では世界最高峰の映画祭に門外漢なのに入っちゃった。もしかしたら(長編コンペティションにノミネートされた『映画 えんとつ町のプペル』が)アヌシーで賞をとるかもしれないですもんね」と語る。

 それを受けて西野は「3~4日後に発表がありますね」と続け、作品の海外展開に興味があるようで「海外向けは意識したんですか?」と質問。清水監督は「アクティビズムを意識していたので、日本映画でありながら英語で作りました」と返答。西野も「最初からグローバルを目指して、そこに刺さっているのはすごいですね」と感心した様子だった。

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 西野は『えんとつ町のプペル』の制作を経て、海外展開を意識して巨額な制作費をかけて作った作品と、国内マーケットを意識して制作された作品が市場で同じ土俵に並べられることに持論があるという。「お金がかかっているかどうかという議論はしたくないけど、やっぱりパワーバランスは如実にあったなと。世界を狙わずに生き残れる道なんてないんじゃないかと思うようになった」という西野の言葉に、清水監督は「そこはめちゃくちゃ共感していて、危機感も共有しています」と語る。「同じファン層を相手にすれば数字は上がるかもしれないけど、どんどん色気のない作品ばかりになって、(業界が)縮小してしまう」と続けた。

 そのうえで「僕のような(アニメ業界の)門外漢が入って、ノイズを作って揺らいだところに文化が生まれればいいなと。そこでスタジオ名を『すみません』としたんです」と明かした清水監督。さらに「西野さんにはアンチも多いですが、新しいものを作ろうとするとそうなる。同調圧力に屈していたら、そこそこのものしか生まれない」と続け、西野も「いろんな文化を観ていると、ずっとやってきた人はよそから来た人が新しいことを始めると、ずるいと言う。でも10年~15年後にはそちらに流れるので、ずるいと言われることから始まるんだと思います」と同意した。

 その後も業界の常識に囚われない西野の提言の数々に、すっかり共感している様子の清水監督。あっという間にトーク時間が終わりとなり、清水監督も「次回作も期待していますので、また連絡させてください」と意気投合した様子を見せた。(取材・文:壬生智裕)

映画『トゥルーノース』は全国公開中

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