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ハリウッドからオファー殺到の日本人監督、初長編映画の公開に感涙

(左から)HIKARI監督、渡辺真起子、大東駿介、神野三鈴、板谷由夏、芋生悠、一番前でパネルを持っているのが主演の佳山明
(左から)HIKARI監督、渡辺真起子、大東駿介、神野三鈴、板谷由夏、芋生悠、一番前でパネルを持っているのが主演の佳山明

 第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で最高賞(観客賞)と国際アートシアター連盟賞をダブル受賞するという快挙を達成した映画『37セカンズ』の初日舞台あいさつが7日に都内で行われ、ハリウッドも注目するHIKARI監督は「めいちゃん(※主演の佳山明)と2人で、二人三脚でやってきた。わたしも初長編映画、彼女も初出演・初演技ということで、本当に命をかけて頑張ってくれました。わたしは本当にラッキーだなと……」と言葉を詰まらせた。イベントには佳山、神野三鈴大東駿介渡辺真起子板谷由夏芋生悠も登壇した。

感激で涙の海に…【イベント写真】

 本作は、出生時に37秒間呼吸が止まっていたことが原因で手足が不自由になった主人公・ユマ(佳山)の成長を描いた作品。漫画家になる夢を持ちながら、過保護な母親(神野)の手を借りつつ友人のゴーストライターに甘んじた生活を送っていた23歳のユマが、成人マンガ編集部の編集長(板谷)や、デリヘル嬢・舞(渡辺)らと出会うことで、自分を見出していく。

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 脳性麻痺で実際に車椅子生活を送り、演技未経験ながら「一歩を踏み出すため」と本作のオーディションにチャレンジして、見事、主役を射止めた佳山の生い立ちやキャラクターを織り込みながら、HIKARI監督がすでに出来上がっていた脚本を大幅に書き換えて完成させた。

 壇上に立ったHIKARI監督は「今日と同じ、昨年の2月7日はベルリン国際映画祭のスタート日でした。そんなパーフェクトな日に、日本で劇場公開となり、本当に幸せいっぱいです」とあいさつ。さらに「経験豊富で、十人十色な、有名な俳優の方々とお仕事させてもらい、最初はわたしも構えてしまって、(自分で)大丈夫かという感じでした。でも(キャストの)みなさんはオープンで勉強家で、自分がこれから映画をいっぱい撮り続けても(今回の撮影は)一生忘れない経験だなと思います」と撮影を振り返った。

 HIKARI監督は大阪出身。高校時代に渡米し、南カリフォルニア大学院(USC)映画芸術学部で映画・テレビ制作を学び、 現在はロサンゼルスと東京を拠点に活動中。クリント・イーストウッドクエンティン・タランティーノらもいる大手エージェントに所属し、米映画スタジオ・テレビネットワーク数社と長編映画やテレビシリーズ制作の企画が進行中であるなど、ハリウッドからオファーが殺到する注目の才能だ。

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 司会進行役から「アメリカ流のHIKARI監督の演出法の印象は?」と質問が出ると、大東は「HIKARIさんは、現場でものすごい愛情をもって、立っていらっしゃる愛情深い人やなあと思います。すごく厳しいところもあるし、しつこくて、なかなか粘り強いところもあるけども。鼻っ面を、どつかれたくらいで」とHIKARI監督に視線を送りながら笑顔でコメントし、監督と同じ関西弁で息の通じたところを感じさせた。

 また、母親役の神野が「これまでアメリカでやられてきたHIKARI監督のいろいろな思いが、この初長編作の中で開花していると思います。そしてそこに(佳山)めいちゃんが勇気を出して飛び込んで……いや、めいちゃんがすべての始まりでしたね。めいちゃんの勇気で、この冒険旅行は始まったんです」と観客に呼びかけると、客席からも拍手が。

 そんなキャスト陣のコメントに、涙を抑えられなくなった佳山が「メイクさん、(泣いてしまって)ごめんなさい。本当にステキなみなさんに応援してもらい、支えていただいて、この作品があります。このステキさを感じていただいて、それぞれ思われるところはあると思いますが、みなさんのポジティブなエネルギーになったらうれしいです」と振り絞るように力強く語ると、壇上のキャストたちの涙腺も限界に達し、もらい泣き。大東の「なんだ、みんな泣いてるやん」とのツッコミに、会場がほっと和んだ。

 最後にHIKARI監督は「ここまで来るのは、本当に長い道のりでした。わたしのような人間のことを信じて、この作品を世に出したいと思ってくださったたくさんの方々の愛の賜物(たまもの)だと思っています」と感無量の表情だった。(取材・文/岸田智)

映画『37セカンズ』は全国公開中

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