アカデミー賞最多ノミネート『ROMA/ローマ』こだわりの映像と音の秘密

第91回アカデミー賞

Netflixオリジナル映画『ROME/ローマ』独占配信中

 映画『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロン監督がインタビューに応じ、こだわりの映像とサウンドについて明かした。同作は第91回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚本賞、撮影賞、美術賞、音響編集賞、録音賞、外国語映画賞の最多10部門にノミネートされている。

【動画】『ROMA/ローマ』予告編

 1970年代のメキシコを舞台に、家政婦のクレオと雇い主一家の日々を情感豊かに描いた本作は、キュアロン監督の半自伝的な物語。キュアロン監督はつらい経験もした自身と兄弟の子供時代とあらためて向き合い、クレオのモデルとなった当時の家政婦リボの過去を掘り下げて、脚本を執筆した。

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 モノクロの映像はきらめくばかりの美しさだ。キュアロン監督は「記憶を手段にした映画だから、モノクロにすることは初めから決めていた。ただ1950年代の白黒映画のようではなく、現代的に見せたかったんだ。現在から過去をのぞき込むような感じに。だから僕たちは65ミリのデジタルで撮影することに決めたんだよ、フィルムではなくてね」と振り返る。

 そして映画音楽は使用せず、環境音がまるで音楽のように使われている。「なぜなら僕がサウンドでやりたかったのは、スクリーン上のものを描写するだけでなく、観客に“感覚”を与えることだったから。時間と空間についての映画にしたかった。時間をつかさどるのはカメラで、現在からの目であるカメラが、過去を観察する。そして、サウンドは空間に対してこれと同じことをしているんだ。観客が観ているものは、音を聴いたとき、フレームの中で描かれているもの以上に広がるから」

アルフォンソ・キュアロン監督と主演のヤリッツァ・アパリシオ

 キュアロン監督は本作で撮影監督も務めた。本当は『ゼロ・グラビティ』『トゥモロー・ワールド』『天国の口、終りの楽園。』など数々の作品で組んできたオスカー撮影監督エマニュエル・ルベツキにやってほしくて契約もしていたが、制作期間が延びたことで離脱を余儀なくされたという。「これが起きたのは撮影数週間前のことで、チボ(ルベツキのあだ名)に『自分でやった方がいい』と説得されてね。脚本は自分の記憶を基に、心に浮かぶまま自由に執筆した。自分で撮影監督を務めることで、その脚本からイメージへ、ダイレクトに展開することが可能になった。今となってはそれでよかったんだと思う」。初めは不安で「しょっちゅう彼に電話していた」と笑ったキュアロン監督だが、撮影監督からキャリアを始めたこともあり、すぐにリズムをつかんで撮影を本当に楽しんだそう。「でもよく『チボだったらどうするかな?』って考えたよ」と続けた。

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 撮影監督として大きな挑戦となったのは、映画館のシーンと終盤の海のシーンだという。「映画館のシーンでは、劇場スクリーンの明かりで全てのものを照らしたかったから、LEDライトの壁を作ってそこで映画を上映し、後でデジタルでそれを取り除いて、普通の映画館のスクリーンに変えたんだ。海のシーンでは、深い海まで続く桟橋を建てないといけなかった。カメラのクレーンを付けてね。それに完璧な明かりの時に撮らないといけなかった」

 そして、家政婦クレオが掃除する床を映し出すオープニングから、観客は一気に作品に引き込まれる。「オープニングシーンは映画のペースを決めることを意図している。僕たちは時間と空間を大切に描きたかった。観客が実際に観る空間、この場合は床だけど、それだけではなくて、その周りの空間もね。そして映画を通して扱う、異なる要素を紹介しようとした。太陽、水、飛行機の影、犬の鳴き声、そして僕たちを取り巻く世界の存在……。それにオープニングは床、つまり大地から始まる。水の助けがあって、空、つまり天国をちょっと見ることができる。そして映画の最後にはカメラは上へあがり、床ではなく、空=天国をついに直接見ることができるんだよ」とオープニングと対になったラストシーンに込めた思いも語った。(編集部・市川遥)

映画『ROME/ローマ』はNetflixで独占配信中

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