ニューヨークでも高評価!『寝ても覚めても』濱口竜介監督を直撃

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カンヌに続き、ニューヨークでも!注目の濱口竜介監督

 現在開催中の第56回ニューヨーク映画祭に出品されている映画『寝ても覚めても』について、濱口竜介監督が、10月4日(現地時間)、ニューヨークのリンカーン・センターにあるウォルター・リード・シアターで単独インタビューに応じた。

【動画】『寝ても覚めても』予告編

 数々の映画祭で注目された映画『ハッピーアワー』の濱口監督が、柴崎友香の同名小説を映画化した本作。突然失踪してしまった恋人を忘れられずにいる朝子(唐田えりか)が、彼とうりふたつの男性と出会ったことにより、心動かされる姿を描く。恋人の前から姿を消すミステリアスで自由人の男性・麦と、実直なサラリーマン・亮平という真逆のキャラクターを東出昌大が演じた。

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 初の商業的な作品となった今作、小説が単純に面白かったことが惹かれた理由だと語る濱口監督。「僕は小説を読むのが苦手なほうですが、彼女の文体はすごく視覚的なのが特徴で、とても読みやすかったんです。彼女の作品はどれも好きですが、特に『寝ても覚めても』は、もう一つフィクションの層が重なり合っている感じがしました。全く同じ顔のものが出てくる設定は、古典的ではありますが、(普通の生活による)現実的な部分と(全く同じ顔のキャラクターが出てくる設定という)非現実的な部分が同居していて、それが僕のやりたい部分だと思ったんです」。

 今作では、東日本大震災の影響でキャラクターに変化が起こる設定になっているが、東日本大震災後には「東北記録映画三部作」も手がけている。東日本大震災以前と以後の日本の大きな変化は、意識的に含めたい部分なのか聞いてみると、「震災によって日本の社会がダイナミックに変わったのは確かなことですし、ある種の劣化が可視化された形で、誰の目にも(日本の社会の変化が)見えたり、感じられたりするようになってきました。ただ、僕自身は社会的な事情よりは、もっと個人的で、日常的な作品を描いていきたいと思っています」と答え、日常的な生活は今や震災後の日常という認識があるため、ある時期から、日常を描くときには震災も入ってくるようになっていると思うと明かした。

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 ヒロインのキャスティングは、当初、知名度のある女優も検討していたそうだが、そういう女優たちからは良い反応を得られず難航。撮影の3か月前にオーデイションを開いたそうだ。「そこで唐田えりかさんとお会いしたんです。朝子はあっちに行ったり、こっちに行ったりするキャラクターで、それが全部本当に見えなければいけない。彼女にとっての本心に見えなければいけないというところがあるのですが、唐田さん自身も、嘘(うそ)をつくのがすごく下手な部分があって、(正直に生きる)朝子に近いタイプの人間じゃないかと思ったのが決め手でした」と明かし、彼女はこれから日本を代表する女優になると確信していると称賛した。

 撮影では、記録係に撮影前のシーンをチェックさせずに、あえて自然の流れで次のシーンを撮影する手法を取っている濱口監督。それは、演じやすさというものを一番に考えるようになったからだと説明する。「『ここに手を置いてください』とか、『このせりふの後にコーヒーを飲んでください』とか言っただけで、俳優の意識は確実にそっちに集中してしまいます。それをカメラは記録してしまうので、そういうものが無いほうが必ず映画にとっては力になるし、仮につながりが悪くても、それは映画の一つの魅力だと思っています。そんな自由さを全面的に肯定したいんです。だから役者から出てくるものを、映画の一番の力としていきたいと思っています」と持論を展開した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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