ADVERTISEMENT

10分でチケット完売!ラーメン人生を描いたドキュメンタリー映画『ラーメンヘッズ』サンセバスチャン映画祭で上映

師匠である東池袋大勝軒・創始者の故・山岸一雄さんのエプロンで厨房に立った富田治さん
師匠である東池袋大勝軒・創始者の故・山岸一雄さんのエプロンで厨房に立った富田治さん

 千葉・松戸の人気ラーメン店「中華蕎麦 とみ田」の店主・富田治さんのラーメン人生に迫るドキュメンタリー映画『ラーメンヘッズ』(重乃康紀監督)が、スペインで開催中の第65回サンセバスチャン国際映画祭のキュリナリー部門で上映された。上映後には、富田さん自身が腕を振るう特別ラーメン・フルコースが用意され、長時間待つのは当たり前の絶品ラーメンを約80人が堪能した。

【写真】煮卵から醤油・塩ラーメン、つけ麺にデザートまで!マニアも唸る富田さんのスペシャルラーメンコース

 サンセバスチャンは美食の街で知られ、同映画祭では2009年に料理映画部門を設置。市内にある料理専門大学バスク・キュリナリー・センターのコーディネートを行い、映画鑑賞後に世界の一流シェフによる映画にちなんだディナーをセットで楽しめるという、心とお腹を満たす人気部門だ。

ADVERTISEMENT

 中国から伝来し、今や日本人にとってソウルフードといっても過言ではないラーメンは、海外でも出店が相次いでいるが、サンセバスチャンでは専門店はまだない。しかも業界で最高権威と称されるTRY(Tokyo Ramen of The Year、講談社主催)の大賞を4年連続で獲得した日本一の味がやって来るとあって、チケットは10分で完売したという。

富田治

 その期待に応えるように富田さんは、スタッフを7人連れて4日前に現地入り。自家製麺やメンマ、昆布や柚子などは日本から持ち込んだが、スープの出汁を取るための食材は地元産を使うという新たな挑戦に挑んだ。スペインのスタッフの案内でフランス側のバスクの市場まで足を運び、ブレス鶏やブレノワール、さらにバスクの地鶏であるルマゴリやイベリコ豚といった最高級食材を集めたという。

 問題は水で、日本は出汁が出やすい軟水だが、欧州は硬水と異なる。そこで富田さんはサンゴ礁で水を浄化してから使用するという一手間をかけた上で、約2日間半かけてスープを煮込んだ。富田さんは「少しでも日本と同じ味を提供できるようにと考えました」という。

ADVERTISEMENT
醤油ラーメン

 そうして提供されたメニューは、自家製の煮卵やメンマに始まり、鶏の力強いスープと醤油が日本人の郷愁をそそる醤油ラーメン。かつおの刺身をなめろう風に味付けした「かつお丼」。1度目は昆布出汁を味わいながらそのまま、2度目は広島産の海塩を付けて、3度目はムール貝のスープに付けてとお好みで味の変化を楽しめる塩ラーメン。そして「とみ田スペシャル」と題した看板メニューのつけ麺。

 シメにはきな粉や黒蜜を使った和風パンナコッタに、アイスクリームに梅干しパウダーやホワイトチョコレートを合わせたデザートも登場。富田さんに密着していた重乃監督も「日本では絶対食べられない、夢のような富田さんのラーメン・コース。日本のマニアが知ったら羨ましいどころか、地団駄を踏むと思います」と興奮しきりだ。

 参加者の中には、マドリッドにあるラーメン店を訪れたことがある人や、日本旅行で食べた味が忘れられず、自宅でラーメンを作っているという強者もいたが、富田さんの味は別格だったようだ。「Que rico!(ケ・リコ)」(スペイン語で「なんて美味しいんだ」の意味)とつぶやきながら、各々が丼と向かい合ってひたすらラーメンをすするという西洋のディナーでは滅多に見られない光景が広がった。テーブルマナーもお構いなしで、丼に口を付けてスープを飲み干したり、スープの中にかつお丼のご飯を入れてラーメンライスを楽しむ人も現れた。

ADVERTISEMENT
ラーメンヘッズ参加者たち
思わず笑みがこぼれる参加者たち

 ベルリン国際映画祭のキュリナリー部門のプロジェクト長であるトーマス・シュトルック氏は丼の底に残ったスープを指で綺麗にさらいつつ「こんな美味しいスープは飲んだことがない」と感嘆の声をあげていた。映画も「随所にユーモアが散りばめられ、故・伊丹十三監督の『たんぽぽ』を思い出した」と絶賛し、早速、来年2月に開催されるベルリンへの招待も視野に入れたようだ。

 この日、師匠である“ラーメンの神様”の異名をもつ東池袋大勝軒・創始者の故・山岸一雄さんの名前が記されたエプロンで厨房に立った富田さんは「(日本とスペインの混成スタッフの)皆で、“美味しい料理を作る”、その気持ち一つで良いチームワークが出来上がったと思います。日本人とスペイン人、それぞれに良いところがあって、今回は勉強になりました」と挨拶すると、会場から惜しみない拍手が贈られていた。

 なお、今年の同部門には日本から、武田玲奈が出演した『パパのお弁当は世界一』(フカツマサカズ監督)も選ばれ、こちらも今や世界に広まったBENTOが紹介された。(取材・文:中山治美)

第65回サンセバスチャン国際映画祭は9月30日まで開催
映画『ラーメンヘッズ』は来春公開予定

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT

おすすめ映画

ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT