被ばく家畜は殺処分か…国に抵抗する農家のドキュメンタリー

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映画『被ばく牛と生きる』より
映画『被ばく牛と生きる』より - (C)2017 Power-I, Inc.

 2011年3月に起こった福島第一原子力発電所事故から1か月後、国は原発20km圏内を“警戒区域”に指定し、同年5月に農林水産省は同域内にいるすべての家畜の殺処分を福島県に指示した。だがそれに対し、「存在が許されない声なき命を守りたい」と抵抗した農家がいる。彼らの姿を追ったドキュメンタリー映画『被ばく牛と生きる』の公開が、今年10月下旬に決定した。

【画像】謎の斑点模様が出現した“被ばく牛”

 東日本大震災が起こるまで約3,500頭いた牛は、牛舎につながれたまま残され約1,400頭が餓死。そして国が決定した殺処分の方針に対し、いくつかの農家は納得できずに、膨大な餌代を自己負担しながら牛を生かし続けることを決意した。ある農家は被ばくを覚悟で居住制限区域で暮らし、別の農家は2日に1回60km離れた二本松市の仮設住宅から通い続けたという。また以前は原発推進派でありながらも、現在は「牛を生かすことは故郷を守ることにつながる」と活動している元町議会議員もいる。

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 映画には“被ばく牛”を科学的に調査する、岩手大学農学部共同獣医学科の岡田啓司教授なども登場する。大学合同チームも研究へ乗り出す中、事故翌年には原因不明の白い斑点模様が出現した“被ばく牛”も現れた。

 彼らの姿を切り取った松原保監督いわく、牛1頭のえさ代は年間約20万円。30頭いれば、年間500万円を超えるえさ代がかかるという。農家の人々は斑点牛を東京・霞が関へと連れていくなどのさまざまな運動を行ってきたが、長期にわたる経済負担、避難先での老老介護などやむをえない事情で徐々に心が折れて脱落する農家もいた。原発事故から5年、10数軒あった反対農家は5軒となったとのこと。

 映画を作るために、大阪から自家用車で福島・岩手へ往復すること38回、取材日数のべ82日間がかけられたという本作。松原監督は「農家は被災者です。売り物にならない牛を生かす意味とは……。この映画は、その答えを探し求める“旅”でもありました」と話す。映画のナレーションは女優の竹下景子が務めている。(編集部・井本早紀)

映画『被ばく牛と生きる』は10月下旬、ポレポレ東中野にて公開

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