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徹底的に自分を追い込む永瀬正敏の役者道

徹夜のシーンでは実際に徹夜をして撮影に臨む徹底ぶり - 写真・高野広美
徹夜のシーンでは実際に徹夜をして撮影に臨む徹底ぶり - 写真・高野広美

 フランスで開催中の第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出されている河瀬直美監督の新作『』(公開中)に主演した永瀬正敏。弱視のカメラマン雅哉を表現するために、撮影後、すぐに社会復帰できないほど自分を追い込んだ。クランクインから体重は約9キロ落ちたが、本人にとっては自然で、必要だったこと。その壮絶な境地にたどりついた永瀬が、撮影のエピソードを語った。

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 『光』は雅哉と映画の音声ガイドを作る美佐子(水崎綾女)が、ガイドの制作過程で心を通わせていく魂の愛を描いたラブストーリー。実際には目の見える永瀬が撮影前に行ったのは、「僕(雅哉)と同じ症状の方や視覚障碍をお持ちの方、失明されてしまった方に極力いっぱいお会いして、いろんな話を細かくお聞きして仲良くさせていただきました。ご飯を一緒に食べたり、ご自宅や仕事場にお邪魔して僕らが普段生きている中では気付かない部分を教えてもらったり」。そうした経験を積んで、気持ちの準備を整えていった。

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 また、撮影前から実際に撮影セットの中で生活をして、雅哉という役を積み上げていった永瀬。撮影中もお風呂に入るとき以外はずっと弱視を体験できるゴーグルを着けていた。徹夜のシーンでは、実際に徹夜をして撮影に臨む徹底ぶり。後半は食事をとらず体重がどんどん落ちていった。なぜ、そこまでするのか。「目の見える僕がその方たちの思いに100%近づくことは絶対にできないんですが、一歩でも二歩でも気持ちに近づいていたい、その思いに、出来る限り近いところに身を置かなきゃ失礼じゃないかと。そのためには自分の気持ちに足かせを作って、自分に何かを課さないとダメなんじゃないかと思ったんです」

光
ウソにウソを重ねない。

 日本人俳優として初めて3年連続で出演作がカンヌに招待される快挙となった永瀬が役者として肝に銘じていることは、ウソを重ねないこと。「僕らがやっている仕事は、ドキュメンタリーフィルムでない限りはやっぱり作り事であって、その瞬間、その作品ごとでいろんな人になるわけですが、極力ウソにウソを乗っけないようにしています」。原点は、デビュー作『ションベン・ライダー』の故・相米慎二監督からの「やるお前が役のことを一番知っているはずだ」という教えだ。

 「役を理解していないのに芝居をすると、ウソにウソを重ねることになるんですよね。ウソにもう一つウソを重ねてしまうと絶対にお客さんにバレてしまう。だから役を生きている間は100%力を注ぐことが必要で、手を抜くことはできない」。信念に従って役を生きる永瀬だからこそスクリーンに強烈な光を差すことができるのだろう。(編集部・小松芙未)

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