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オダギリジョー、最優秀主演男優賞受賞もオダギリ節炸裂「賞を与えようなんてココだけ」 - 第30回高崎映画祭

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自虐発言で会場を盛り上げつつ、同映画祭への感謝を述べたオダギリジョー
自虐発言で会場を盛り上げつつ、同映画祭への感謝を述べたオダギリジョー

 第30回高崎映画祭授賞式が3月27日に群馬音楽センターで開催され、市民が立ち上げた映画祭の節目の年とあって、『FOUJITA』(小栗康平監督)で最優秀主演男優賞を受賞したオダギリジョーから第30回記念特別賞の岸恵子、さらにビッグカメラ女子ソフトボール高崎のシニアアドバイザーの宇津木妙子氏ら高崎ゆかりの人たちが特別プレゼンターとして登壇し、賑やかな式典となった。

【写真】オダギリジョー、蒼井優ら高崎だるまを手にした受賞者たち

 式をさらに盛り上げたのはオダギリだった。オダギリは毎回、個性的なファッションで人々を楽しませてくれるが、この日はレイヤードになっているジャケットに黒のつば広帽姿。そのオダギリがスポットライトを浴びながらステージに現れると、会場の男性からは思わず「ジョーさん、カッコイイ!!」の掛け声が飛んだ。

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 コメントも洒落をきかせたオダギリ節が炸裂。まず、「高崎映画祭は初めて演技で賞を頂いたところで、それ以来、何度か頂いていて思い出深い、自分の人生の1ページと思える場所だと思います」と語り、初主演映画『アカルイミライ』(2002)と『ゆれる』(2006)で最優秀主演男優賞、『空気人形』(2009)で最優秀助演男優賞を授与してくれたことへの感謝の言葉を述べた。

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名前入りの高崎だるまを手に…(左から)蒼井優、オダギリジョー

 続いて「今回も『FOUJITA』という分かりにくい映画で、芝居も分かりにくいと思うんです。分からない人にとっては棒読みのセリフでなんとなくやっているようにしか見えないと思うんですけど、プロから見ると何をやりたいのかが分かる映画なんですね。それに賞を与えるという高崎映画祭の目利きというか、よく理解出来るなと、改めて思うことです」と語ると、会場から笑いが起こり始めた。

 そこでオダギリは「いや、本当に自分でも自信のある作品ですし、すごい芝居をしているんですよ。でも賞を与えようなんてココだけだし、今後も賞を与えようというところもないかと思います」と自虐発言を連発して笑いを取り、スクリーンの中のみならず生でも観客を魅了した。

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 『岸辺の旅』で最優秀助演女優賞を受賞した蒼井優も負けてはいなかった。蒼井は「ワンシーンしか出ていなくて、すごく取れ高がいいなと思いました」とジョークを飛ばしつつ、「日本を代表する女優である深津絵里さんと対峙する役だったので、主演の二人と同じくらいの気持ちで役作りして現場に臨みました。結果、芝居(=劇中)では勝つことになるのですが、実際はボコボコになって帰ってくるくらい深津さんのエネルギーが凄かったことを覚えてます」と撮影を振り返った。

 その深津も最優秀主演女優賞を受賞したが、東京・渋谷で上演された舞台「ETERNAL CHIKAMATSU」の千秋楽と重なったため欠席。代わってコメントで蒼井に「映画の中では恋敵同士でキリキリした感じでしたが、次は笑顔で再会して、お互いの受賞を喜び合いたいです」とメッセージを送った。

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『恋人たち』で優秀新進俳優賞を受賞した篠原篤

 映画賞レースを総ナメにしている橋口亮輔監督『恋人たち』は、本映画祭でも最優秀監督賞、最優秀助演男優賞、優秀新進俳優賞に主演の3人が輝き、ここでも2015年度を代表する作品であることを印象づけた。そして優秀新進俳優賞を受賞した篠原篤は、宇津木氏から記念のトロフィーを受け取るというまたとない機会を味わったのだが、意外なエピソードを披露した。「宇津木さんが日本代表監督を務めていた時の投手だった上野由岐子は僕の小・中学校の同級生で、彼女がソフトボール部、僕が野球部でした。20代のうだつの上がらない時に彼女の活躍を見て、これだけの感動を人に与えるなんて素晴らしいなと思ってました。僕もまだまだですけど、素晴らしい映画祭で賞を頂けたことを誇りに一つ一つ精進していきたい」と力強く語った。

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 同映画祭は「地方でも良質な映画が見たい」との思いで、NTT東日本群馬支店に勤務していた茂木正男さんが1987年に創設。この熱い思いが2004年のミニシアター「シネマテークたかさき」開館へと繋がったのだが、茂木さんは2008年に61歳の若さでこの世を去った。その茂木さんの思いを、現・映画祭ディレクターの志尾睦子さんらが引き継ぎ、いまや期間中、県内外から約1万人が訪れる祭へと成長させた。

 今回、最優秀作品賞を受賞した『野火』の塚本晋也監督は、『鉄男 II BODY HAMMER』(1992)で若手監督グランプリを受賞して以来、同映画祭の常連だ。受賞コメントで塚本監督は「僕の映画は海外では喜ばれるのですが、日本ではあまり喜ばれない。その映画にグサッと串を突き刺すように選んで下さる」とインディペンデントの作品に光を当ててきたことへの感謝と、多くの映画人の背中を押してきたことを高く評価した。

 そして今回のトリを務めたのは第30回記念特別賞を受賞した女優の岸恵子。岸は群馬交響楽団創設までの実話を描いた今井正監督『ここに泉あり』(1955)に出演しており、同作が音楽と映画の街である高崎を象徴する作品であることや、岸自身の長年の映画界への貢献を評価しての受賞となった。

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『ここに泉あり』の撮影秘話を語った岸恵子

 ファーのコートを羽織って華麗に登場した岸は「撮影で私が高崎に伺った時は21歳。あれから62年……。こんな風になりました」と両手を広げてポーズを取り、会場から拍手喝采を浴びた。同作は映画祭期間中の4月8日に無料上映されるが、岸はこの日に再見したそうで「6か月に及んだ長い撮影で、本当に懐かしく、泣きたいほどの場面がいくつもありました」と当時を振り返った。

 今井監督の独立プロダクションの製作で制作費がなく、岸は「私と主演の岡田英次さんは、確か無料出演した記憶があるんですけど」と驚きのエピソードを披露。「高崎の皆さんも最初は歓迎して下さったけど撮影が延びて制作費がなく、“居候三杯目にはそっと出し”みたいな感じになって、お弁当がずっと、小さいおにぎり2個とたくあん2切れという日が続きました。そこでスタッフが農家からサツマイモを買って、焚き火にくべてホカホカのお芋を食べたことを思い出します」。

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 残念ながらすでに今井監督をはじめ、岡田、小林桂樹ら主要スタッフ・キャストは鬼籍に入った。岸は「今日は私にというのではなく、皆さんで頂いた賞として受け取ります」と天国のスタッフに賞を捧げた。そして最後は受賞者と一緒に同映画祭名物、名前・作品名入りの高崎だるまを持っての記念撮影に収まった。(取材・文:中山治美)

受賞結果は以下の通り

【最優秀作品賞】
『野火』 塚本晋也監督

【最優秀監督賞】
小栗康平監督 『FOUJITA』
橋口亮輔監督 『恋人たち』

【最優秀主演男優賞】
オダギリジョー 『FOUJITA』

【最優秀主演女優賞】
深津絵里 『岸辺の旅』
山田真歩 『アレノ

【最優秀助演男優賞】
黒田大輔 『恋人たち』

【最優秀助演女優賞】
蒼井優 『岸辺の旅』

【優秀新進俳優賞】
篠原篤、成嶋瞳子池田良 『恋人たち』

【最優秀新人男優賞】
森優作 『野火』

【最優秀新人女優賞】
水野絵梨奈 『ソレダケ/that's it

【ホリゾント賞】
越川道夫監督 『アレノ』

【新進監督グランプリ】
山崎樹一郎監督 『新しき民

【第30回記念特別賞】
岸恵子
 
【第30回記念高崎映画礎賞】
小田橋淳夫(映写技師)

第30回高崎映画祭は4月10日まで開催中

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