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ディズニーが90年以上も原画を保ち続けられる秘密

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デジタル保存された『ロビン・フッド』(1973)のラフ・アニメーション。ナイン・オールドメン(ディズニーの9人の伝説のアニメーターたち)の一人であるミント・カールが手掛けたもの
デジタル保存された『ロビン・フッド』(1973)のラフ・アニメーション。ナイン・オールドメン(ディズニーの9人の伝説のアニメーターたち)の一人であるミント・カールが手掛けたもの - (C) Disney Enterprises Inc

 ディズニー・アニメーションと一概にいっても、『蒸気船ウィリー』のような短編作品や、『シンデレラ』『美女と野獣』といった長編作品など膨大な数の作品が存在する。それらの膨大な関連資料はどのように保存されているのだろうか。ウォルト・ディズニー氏の意志を受け継ぎ、1920年代から現在までの短編・長編作品のアートワーク、約6,500万点を保管するウォルト・ディズニー・アニメーション・リサーチライブラリー(以下ARL)の担当者フォックス・カーニー氏が説明した。

 1980年代には、アニメーションスタジオとしても機能していたというARL。保存されているのは主に、ストーリースケッチ、コンセプトアート、アニメーションドローイング、背景画などだ。またマケット(アニメーターが動きや光の当たり方の参考に使用する立体模型)といった立体物も保存されている。カーニー氏いわく最初の資料保存庫では、ディズニーの社員であれば自由に自分のデスクへ資料を持ち出すことができていたという。しかし、ディズニー氏が資料を維持することへの価値を見いだしてからは、かなりデリケートに扱うようになった。原画はパラパラと素手でめくることはしない。手袋をはめ、金属のヘラを使って丁寧にめくっていく。

 今は手描きアニメーションから撤退しているディズニーだが、4月に公開される新作『ズートピア』のアニメーターたちを含め、現在も過去作の線画のドローイングを参考にしようと、アーティストたちがARLに訪れるのだという。彼らはコンピューターでどのようにキャラクターを動かせばよいか、名アニメーターたちの思考のプロセスが刻まれた線画から学んでいく。

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長編映画(1937~1977年の作品)の原画関係を扱っている保管庫にて

 アートワークを保存する部屋の温度は、摂氏約17度。湿度は50%で保たれている。気候や温度、湿度の変化でダメージを与えないためだ。またARLでは、資料のデータ化も進められている。スキャン用の特別なカメラを一日中起動して、調子のよい日は一つのカメラで1,000枚以上撮影することもある。データ化作業の担当者によれば、6年半の間に約99万点の資料を保存したとのこと。

 データ化された資料は、GEMSと呼ばれるディズニー・アニメーション、ディズニー・トゥーン・スタジオ、テレビジョン・アニメーション、ピクサーの社員が利用できるウェブサイトで閲覧することが可能だ。このようにすることで、オリジナルの資料が人の手に触れられることが少なくなり、資料の劣化予防・オリジナルが紛失したときの保険にもなる。何よりもアニメーターたちにとっては、資料が必要な時にARLに行かずともパッと手元に資料を出せることがありがたいのだろう。

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こちらは『ジャングル・ブック』(1967)のラフ・アニメーション。ナイン・オールドメンのメンバーであるフランク・トーマス作 - (C) Disney Enterprises Inc

 そしてなんとも驚くべきことは、約6,500万点も資料を保存しているARLが、一つの保存庫に過ぎないということだ。カーニー氏によると、会社の歴史や書類、実写作品の資料を保存するウォルト・ディズニー・アーカイブ、テーマパークのデザインやショーを保存するライブラリー、音楽を保存するライブラリー、DVDなど消費者製品部門用のライブラリーなどが存在するのだという。ディズニーの「レガシーを受け継ごう」とする熱意には脱帽だ。(編集部・井本早紀)

映画『ズートピア』は4月23日より全国公開

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