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22年ぶりに鳥肌たった!『ジュラシック・パーク』の正当な続編は『ジュラシック・ワールド』

コラム

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22年前、『ジュラシック・パーク』はCG映像の変革点だった。
22年前、『ジュラシック・パーク』はCG映像の変革点だった。 - Universal Pictures / Photofest / ゲッティイメージズ

 22年前、『ジュラシック・パーク』のラストシーンに鳥肌がたったことを覚えている。「WHEN DINOSAURS RULED THE EARTH」と書かれた横断幕をひるがえらせて雄叫びを上げるT-REXは、これが最先端のCG技術だ! と見せつけるようなスティーヴン・スピルバーグ監督の姿と重なって、目頭が熱くなり永遠に忘れられない映像として脳裏に焼き付いた。(「 WHEN DINOSAURS RULED THE EARTH」は『恐竜時代』という1970年のイギリス映画)そしてまさに1993年の『ジュラシック・パーク』は、3DCG技術の夜明けを宣言した作品となった。後にスピルバーグ監督自身は、映像に革命を起こすつもりでなかったと語っているが結果から見るとあきらかにこの作品は映画における視覚効果の革命的作品となった。

『ターミネーター2』もかなりの衝撃

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『ターミネーター2』のおまわりさん、ホントにコワかった……。Jean-Paul Aussenard / WireImage / GettyImages

 「CGかリアルか見分けがつかない」という言葉は今でこそ当たり前のように使われているが、22年前『ジュラシック・パーク』が公開されるまでは、「CGだけど、見ようによっては本物に見えないこともない」という、一般大衆のCGへの期待や評価はかなり甘いものだった。1990年始めのCG技術といえば、レイトレーシング(光の影響を計算する方法)などが、映像に使われ始めてはいたもののまだまだ、リアルなCG映像を作るためには、時間も予算も莫大に要した時代だ。ところが、1991年公開された『ターミネーター2』では、液体金属という、3DCGの技術に真っ向から挑む物体が作られ、そのクオリティーに世界が沸いた。ジェームズ・キャメロン監督はCGと実写を巧みに合成処理したVFXという技術でロボット、金属に命を吹き込んだ。ロバート・パトリックの薄気味悪い警官が、えたいの知れないT-1000とあまりに見事にマッチングして映画本編からみるとカット数はあまり多くはなかったがキャメロン監督の成せる技でそれらは見事に調和して見えた。しかし、金属などある意味CGが表現する得意分野の映像化でもあり、生物など有機物のCG化というのは、まだまだ遠い未来のこととして語られていた。

22年前『ジュラシック・パーク』以前と以後のCG

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『ジュラシック・パーク』(1993年)精巧なモックアップとCGで製作された恐竜たち Universal Pictures / Photofest / ゲッティイメージズ

 ところがその2年後、スピルバーグ監督の手によって恐竜という有機物がCGで見事な進化を遂げる。『ジュラシック・パーク』は、それまでのCGの世界を一変させてしまう。ILMの開発した技術で作り出されたフルCGのティラノサウルスや、ヴェロキ・ラプトルは、それまでのモーションキャプチャー(精巧な模型を1コマずつ撮っていく)との合成ではなく、フルCGでレンダリングされた上に、その質感はこれまでの恐竜映画と比べても群を抜いていた。実写の背景にはめ込まれたときの光の量、構図はいままでのCGとは比べものにならないほど自然で、雨にぬれる恐竜たちのしずくでさえも計算され尽くしスケール感が見事に表現されていた。また、CGだけでなく恐竜のパーツを精巧なモックアップで作り上げCGと効果的に組み合わせて見せた。そしてすばらしいのは、CGだけでなく、スピルバーグ監督の恐竜の見せ方。『激突!』とか『JAWS/ジョーズ』で、観客を恐怖のどん底にいざなった「本当にコワいモノがなかなか見えない」手法で、T-REXの大きさをコップの水とか、目や鼻息だけ見せるといった間接的な表現で効果的に演出。実はCGは全体からみてもほんの数分ほどしかないともスピルバーグは語っていたが、このスピルバーグの技法、実写、CGが美しく調和していた。

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やっぱり『ジュラシック・パーク』は超えられない

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『ジュラシック・ワールド』では、ジュラシック・パークがオープン! パークのデザインは、今ある動物園やテーマパークに近い造形でリアリティーがあります。 Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment ILM / Universal Pictures and Amblin Entertainment

 1993年のオリジナル『ジュラシック・パーク』は世界的な大ヒットを収め、シリーズとなり、2001年まで2作が製作された。どの作品もそれなりに映像のクオリティーは高く内容も面白かったが、やはり最初の『ジュラシック・パーク』ほどの感動は得られず世間的評価もそこそこだった。それは仕方がない、『ジュラシック・パーク』以後、CG技術が飛躍的に進歩し、「CGかリアルか見分けがつかない」時代に突入。この後CGが革新的だと言われた作品はフル3DCGの『トイ・ストーリー』(1995年)の後は、『アバター』(2009年)まで時を要す。つまりCG技術でオリジナルを超えるインパクトは出せず、その分を物語がカバーするのは至難の業だったといえる。

とうとうパークが感涙のオープン!

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『ジュラシック・ワールド』のCGはもはや本物と言ってもいいぐらいの精度 Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment ILM / Universal Pictures and Amblin Entertainment

 そうこうする間に時は流れ、現実の世界ではテーマパークのユニバーサルスタジオでジュラシック・パークがオープンしたが、映画ではジュラシック・パークは、オープンしないまま『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『ジュラシック・パーク III 』と話は続いていた。映画の中のジュラシック・パークは、「恐竜はあんなに危険なんだから、もうジュラシック・パークは絶対オープンしないんだよね」と誰もが思い込んでいたはず……しかし、まもなく公開される『ジュラシック・ワールド』(8月5日公開)では、22年の時を経てジュラシック・パークはオープンする。

2と3はスピンオフってことに…

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みんなの大好きなT-REXも登場するよ! Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment ILM / Universal Pictures and Amblin Entertainment

 『ターミネーター』シリーズではたびたび「『ターミネーター3』はなかったことに……」などと語られるが、『ジュラシック・ワールド』を観た後では、いままで2、3と呼ばれていた『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『ジュラシック・パーク III 』は、もはやスピンオフと位置付けしたくなるだろう。それほど、『ジュラシック・ワールド』は『ジュラシック・パーク』のすべてを踏襲している。

 『ジュラシック・パーク』でまず最初に恐竜ワールドに心をわしづかみにされるのは、ガリミムスが草原を駈けぬけるところがパンされるシーンだった。『ジュラシック・ワールド』ではパークの全体像がパンされていく時に観客の心はこのジュラシック・パークにわしづかみされる。『ジュラシック・パーク』で狡猾で凶暴だったヴェロキ・ラプトルは『ジュラシック・ワールド』では飼育されているが、この伏線がラストに向かって生きてくる。ビジターセンターはインタラクティブな展示場になり、恐竜の水上ショー、翼竜園など、『ジュラシック・パーク』で誰もが行ってみたい、見てみたいと思っていたアトラクションが実現されているのだから『ジュラシック・パーク』に心打ち震えた人ならば、たちまち夢中になることだろう。

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 そして何よりもラストシーン。『ジュラシック・パーク』で「WHEN DINOSAURS RULED THE EARTH」と書かれた横断幕をひるがえらせて雄叫びを上げるT-REXに感涙した経験のある人であれば号泣ものだ。『ジュラシック・ワールド』の22年前の革新的なCG技術の夜明けを知った時の感激が急によみがえってくる。監督は映画界においてまったく無名なコリン・トレボロウ監督。スピルバーグ監督がその才能を見いだしこの大作を任せることにしたのだ。スピルバーグ監督はやっぱりすごい。(編集部:下村麻美)

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