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『アーティスト』のオスカー監督が暴く、他国の戦争に対する「国際社会の無関心」

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新作『あの日の声を探して』のプロモーションで来日したミシェル・アザナヴィシウス監督
新作『あの日の声を探して』のプロモーションで来日したミシェル・アザナヴィシウス監督

 第84回アカデミー賞5冠を達成した『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス監督が、新作映画『あの日の声を探して』で1990年代のチェチェン紛争を題材にした理由について語った。最初のきっかけは、監督が「チェチェン人の悲劇的な運命に心を動かされた」ことだという。

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 悲劇的な運命は、ソ連崩壊後のロシアがチェチェンの独立を妨げ、侵攻したことによってもたらされたものだ。本作は、紛争で両親を殺されて声を失ったチェチェン人少年、チェチェンで奔走するEU職員の女性、そして軍生活で人間性を奪われていくロシア兵という、3人の登場人物の視点で描かれる。監督は、「チェチェン紛争に関する国際社会の無関心について、映画人として何か発言できるのではないかと思ってね」と本作を撮った理由を語った。

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 その国際社会の無関心はEU職員の目を通して描かれるが、「彼女はチェチェンのために駆けずり回っているが、行政や機構はなかなか腰を上げない。何かをしてあげたいという気持ちが彼女にあっても、現実に阻まれ、行き詰まってしまうんだ」と組織が十分に機能していないことを指摘。とはいえ、「国際社会に無関心な人たちを糾弾するつもりはない。国際機関にしても、どちらの大義が正しくて、どちらの味方をすべきかなんて、その瞬間に判断を下すことは不可能なんだ。国際社会は非常に複雑だから」と説明する。そんな込み入った様相であるため、「その状況を描き出すのは難しかった!」とかなり苦労したようだ。

 なお、『アーティスト』のヒロインに続いて本作でEU職員を演じたベレニス・ベジョは監督の妻としても知られているが、「お互いに幸せだなと思いながら仕事をしているよ」と信頼を寄せ合っていることを明かす。また、チェチェン人少年を演じたアブドゥル・カリム・マムツィエフ君はカンヌ国際映画祭でフランスを訪れ、いまは難民としてフランスで暮らしているという。監督によると「フランス人の学校に元気に通っている」とのこと。彼に起きたこともまた、くしくもチェチェン問題を象徴する出来事の一つであり、わたしたちがチェチェンのことを考えるきっかけになるのではないだろうか。(取材・文:岩永めぐみ)

映画『あの日の声を探して』は4月24日よりTOHOシネマズシャンテ他全国順次公開

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