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中村勘九郎、父・勘三郎の喪失受け入れる覚悟…息子たちの憧れに

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父との思い出を振り返った中村勘九郎
父との思い出を振り返った中村勘九郎

 昨年12月5日に亡くなった十八代目中村勘三郎さん最後の舞台を収めた歌舞伎中継が、11月までWOWOWで一挙リピート放送される。各回には、長男・中村勘九郎と次男・中村七之助が、父・勘三郎との思い出や、演目の見どころを語る無料放送番組「中村勘三郎の世界へ」も合わせて放送される。収録に臨んだ勘九郎が父への思いを語った。

 勘三郎さんが亡くなって早9か月。父であり、師匠でもある勘三郎との日々を振り返った勘九郎は、「芝居命の人でしたから、子どもの頃から食事をしていても芝居の話。『今日、巨人が勝った』なんて話は一回もしなかったですね。芝居のことをずっと考えていろ、というのが父の教えでした」と語る。

 芝居に対する厳しさで知られた勘三郎は、幼い勘九郎と七之助にも容赦がなかった。さらに勘三郎が伝えるものは、技術はもとより「感覚」という最も伝えにくいもの。例えば、祖父と父も襲名披露で演じた「一條大蔵譚」の稽古について勘九郎は「最初に舞台に出る場面だと、“春風が吹くような感じで”出てきなさいって言われましたね……でも、わからないですよね」と懐かしそうに思い出しながら語る。「RPGで言うなら、武器も技も持っていないのに、いきなり強烈な敵と戦わなければならない感じ。それが父との稽古でした。むちゃなんですよ。でも、父の教えに追いつきたくて必死だから、僕も弟の七之助も自分の装備なんてお構いなし。倒されてもまた、戦い続けていました」と笑って打ち明けた。

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 そんな勘九郎も今や2児の父親。長男は毎日のように歌舞伎のビデオを観てマネをしているといい、「今は楽しいと思ってくれることが一番。マネしてくれるぐらいかっこいいと思ってくれたなら良かった」と目を細める。「父(の教え)で悩んだので、もう少しわかりやすく教えようと心掛けますが、僕も教えるのはヘタ。自分自身が輝いて、憧れられる存在でありたい」

 勘三郎が亡くなった喪失感を「伝承という世界で、伝えてくれる人が亡くなった……。父を失ったことは、今後、いろいろな役をやるにあたって、どんどん大きくなっていくのかな」と語った勘九郎。しかし、「全てを受け入れて突き進んでいくしかない」と前を見据える姿は、中村屋の明るい未来をうかがわせる。偉大な父を失ったが、その「感覚」はしっかりと受け継がれていくに違いない。(写真・文:小島弥央)

「全12作品『中村勘三郎の世界へ』一挙放送!」はWOWOWライブにて「平成中村座 片岡仁左衛門 中村勘三郎『伊賀越道中双六 沼津』」は9月21日 午後00:05より
「平成中村座 片岡仁左衛門 中村勘三郎『傾城反魂香』」は9月28日午後00:05より放送
中村勘九郎と中村七之助のインタビューは両日とも午後0:00より放送

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