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真木よう子、衝撃のラストから椎名林檎とのコラボ曲まで、極限の愛を体当たりで演じた主演作を振り返る

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映画『さよなら渓谷』で迫真の演技を披露した真木よう子
映画『さよなら渓谷』で迫真の演技を披露した真木よう子 - 撮影:金井堯子

 映画『さよなら渓谷』で、かつて自分をレイプした男性と奇妙な夫婦生活を送るヒロインを熱演した真木よう子が、衝撃のラストから椎名林檎とコラボしたエンディングテーマ「幸先坂」誕生秘話まで、壮絶な撮影の日々を振り返った。

 『悪人』『横道世之介』など軒並み映画化が続く芥川賞作家・吉田修一の同名小説を、『まほろ駅前多田便利軒』などで知られる大森立嗣監督が映画化した本作は、幼児殺害事件をきっかけに浮かび上がる一組の夫婦の秘密を描き、彼らの15年に及ぶ愛憎の歴史をひもといていく衝撃的なラブストーリー。特殊な設定のため、ヒロインのかなこを演じた真木は「相当な覚悟が必要でした。でも、それ以上にやりがいのある役だと思ったので挑戦しました」と振り返る。

 とは言うものの、かなこを体現するのは並大抵のことではなかった。15年前に起きたレイプ事件の二次被害よって地獄のどん底に突き落とされるシーンでは「彼女の悲しみに浸食されて壊れかけました。過去のシーンの撮影中、ご飯を食べるのもつらくて、どんどんやせてしまって」と壮絶な撮影の日々を告白。その迫真が、かなこの悲しみと愛憎渦巻く生々しい感情を伝えていて圧倒される。

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 今回、真木にとってもう一つの大きな挑戦となったのが、エンディングテーマを自ら歌うこと。曲は、椎名林檎書き下ろしによる「幸先坂」。「みんなで頑張って作った宝物のような作品を、最後にわたしがぶち壊したらどうしようと不安もありました」とプレッシャーをのぞかせつつも、以前から親交のあった椎名との共同作業が心の支えとなったようだ。「林檎さんが映画にピッタリの歌詞を書いてくださったので、かなこが歌っているかのように歌いました。少し声がかすれた感じになっているのは、林檎さんからのアドバイスです」。その結果、映画の世界観とシンクロした絶妙なコラボ曲が誕生した。

 「彼女があの後どうなったのか? の見解が原作者の吉田さんや監督とわたしとではまるで違ったし、男性と女性でも違うみたいです」という衝撃のラストはもちろん、真木よう子が全身全霊で挑み、細部にまでこだわった現時点での集大成的な作品となる本作。その魂の演技をぜひ映画館で体感してほしい。(取材・文:イソガイマサト)

映画『さよなら渓谷』は、6月22日より公開

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