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大丈夫、下には下がいる!病んでしまった映画の主人公たち!

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映画『世界にひとつのプレイブック』より
映画『世界にひとつのプレイブック』より - (C) 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.

 ストレス社会と呼ばれる現代、そうした世相を反映してか、心のバランスを崩してしまった人々を主人公にした映画は国内外を問わず作られ続けている。そのほとんどがどん底にある主人公が何とかはい上がろうとするさまを描いたものだが、ここで紹介するのは沈んだら沈みっぱなしの主人公。ぜひ気分が下向きなときに観て「下には下がいるんだな」と思ってもらいたい。

映画『世界にひとつのプレイブック』フォトギャラリー

 この分野の代表格ともいえるのは、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で知られるラース・フォン・トリアー監督。うつ病経験のある同監督が、同じくうつに苦しんでいたことのある女優キルステン・ダンストを主演に迎えたのが『メランコリア』だ。巨大惑星の異常接近により滅びようとしている世界を舞台にしているだけあって、作中にポジティブなメッセージは一切なし。キルステン演じる主人公のうつ&KYっぷりも見事なもので、「世の中にはこんなにもひどいやつがいるのか」と思えることは間違いない。

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 また、KYな言動を繰り返す主人公といえば、外せないのが『卒業』(1967)のダスティン・ホフマン。花嫁を結婚式から連れ去るラストシーンばかりが有名になってしまったので、実はこの主人公が、もともとはヒロインの母親と不倫関係にあり、それを隠したままヒロインと付き合おうとしたらバレてしまった……というサイテーな男であることは忘れられがち。しかもバレた後はヒロインにつきまとい、彼女が通う大学のそばにアパートを借りるという常軌を逸した行動を見せつけてくれる。この作品に限らず、いわゆるアメリカン・ニューシネマと呼ばれる作品の主人公にはKYなところが多々あるので、作品自体はシリアスでも時折クスっと笑えるのがグッド。

 そして、そうした冷静に考えるとコメディーでしかない主人公の奇行を最初からコメディーとして仕上げようとしているのが『世界にひとつのプレイブック』。ブラッドリー・クーパー演じる主人公もゴミ袋をかぶってジョギングしたり、夜中に読んでいた本を窓からぶん投げたりするので奇人といえそうだが、それをはるかに超えているのがジェニファー・ローレンス演じるヒロイン。いきなりフレームの外から画面に飛び込んできたりするので、主人公だけでなく観客もびっくりする。

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 本作ではそんな主人公二人が立ち直るさまを描いているわけだが、どうにもこの二人の周辺にはアメフトのノミ屋をやっている父親や病院から脱走を繰り返す友人など、まともな人々がいない。だがそうしたキャラクターたちの大騒ぎを見守っているうちに「何だか、こういうのもいいのかな」と思えてくるのがみそ。どん底にいたらはい上がりたくなるのが人間のさがだが、そのままでいることの大切さを教えてくれる本作のような作品も、きっと多くの人が必要としているはずだ。(編集部・福田麗)

映画『世界にひとつのプレイブック』は公開中

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