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北朝鮮と日本に分かれ育った兄妹を描いたヤン・ヨンヒ監督、平壌の兄弟の状況語る

第62回ベルリン国際映画祭

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日本と北朝鮮をめぐる現状と共に、ベルリンの観客への感謝を述べたヤン・ヨンヒ監督
日本と北朝鮮をめぐる現状と共に、ベルリンの観客への感謝を述べたヤン・ヨンヒ監督 - photo:Yukari Yamaguchi

 2月14日(現地時間)、第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門で映画『かぞくのくに』が上映され、質疑応答を行ったヤン・ヨンヒ監督が、日本と北朝鮮をめぐる驚くべき状況を、体験者である自身の口から語った。

 本作は、北朝鮮と日本に別れて育った兄と妹を井浦新(ARATA)と安藤サクラが演じる人間ドラマ。北朝鮮では治療が難しい脳腫瘍(しゅよう)を患った兄は、治療のため特別な許可を得て日本を訪れるが、家族にとって耐え難い北朝鮮からの仕打ちが待っている。ヨンヒ監督は、まず「映画のソンホという兄は、わたしの3人の兄弟を混ぜ合わせたキャラクターです」と語り、今だ病魔と戦う兄弟が実際にいることを明かした。

 ソンホは口数が少なく、なるべく感情を表に出さないようにしている人物に見えるが、ヨンヒ監督は「(自身の)兄弟たちは、絶対に不平は言いません。そうして平壌(ピョンヤン)で生き残るように努力しているんです。もし日本に残っていたらとか、そういうことは考えないようにしています。考え始めたら、よけいつらくなるだけですから」と説明する。

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 ヨンヒ監督は、その兄弟たちと再会する道も絶たれている。父親の人生や北朝鮮に渡った兄弟についてのドキュメンタリー映画『Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン』を発表しており、「その後、北朝鮮には入れなくなりました。完ぺきにブラックリスト入りです」と語るヨンヒ監督。しかし、「自分で選んだ道ですから」と続け、覚悟を決めている様子。「わたしはトラブルメーカーなんです」と笑うヨンヒ監督は、「オフィシャルなトラブルメーカーになって、あのマッドな女の家族にはかまうなと言われたいです」と語った。

 そして、本作の前手掛けた2作品でも、同映画祭に参加しているヨンヒ監督は、「同じように国が東西に分断された経験を持つ皆さんのことをいつも考えます。皆さんにどれだけ勇気付けられたか、ここの観客がどれほど映画製作者を育ててくれているのか、皆さんに想像もつかないほどなんです」とドイツはベルリンの観客への感謝を述べ、大きな声援を浴びていた。(取材・文:山口ゆかり/Yukari Yamaguchi)

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