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ジョナサン・デミ監督を直撃!『羊たちの沈黙』や『ストップ・メイキング・センス』を振り返る!

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ジョナサン・デミ監督
ジョナサン・デミ監督

 映画『ストップ・メイキング・センス』などのドキュメンタリー作品から、名作『羊たちの沈黙』や『フィラデルフィア』まで幅広い作品を手掛けてきたジョナサン・デミ監督が、ニューヨークのIFCセンターで開催されていたDOCNYCで行われたQ&Aに参加し、過去の作品について振り返った。

 ジョナサン・デミ監督は、大学を卒業後にユナイテッド・アーティストの宣伝部で働き、その後ロジャー・コーマン監督の作品の製作に参加したのをきっかけに低予算映画を製作し始め、『ストップ・メイキング・センス』で全米映画批評家協会賞ドキュメンタリー映画賞を受賞、そして『羊たちの沈黙』でベルリン国際映画祭とアカデミー賞で監督賞を受賞している。

 これまで、『ストップ・メイキング・センス』、『ジミー・カーター・マン・フロム・プレインズ(原題)/ Jimmy Carter Man From Plains』(日本未公開)などのドキュメンタリー映画を手掛けてきたが、ドキュメンタリー映画の製作のコツについて「僕がこれまで手掛けてきたドキュメンタリーは、(題材にした人物に)個人的に憧れてたり、インスピレーションを受けた人ばかりなんだ。今回監督した新作ドキュメンタリー『アイム・キャロライン・パーカー(原題)/ I'm Carolyn Parker』もそうで、このキャロライン・パーカー(ハリケーン・カトリーナの際に、最も被害の大きかったロウワー・ナインス・ワードに住んでいた黒人女性)も素晴らしい人物なんだ」と制作が憧れから始まったことを明かした後、その製作のコツについては「新作では、キャロライン・パーカーはハリケーン・カトリーナの出来事を説明するのに忙しくて、僕に質問さえさせてくれなかったんだよ(笑)。僕自身も、この何年かドキュメンタリー映画でメガホンを取ってわかったことは、(インタビューの)対象人物の話が終わっても、あえて質問せずに彼らにもっと話をさせるんだ。すると十中八九は、その対象人物が再び話し始めることになる。だから、これまで僕が描いたドキュメンタリーの人物、ジミー・カーター(元米大統領)、ニール・ヤング(シンガーソングライター)、ジョン・L・ドミニク(ハイチでラジオを中心に活躍していたジャーナリスト)もまた、これと同じアプローチをしたんだ」と明かした。

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 ニール・ヤングやトーキング・ヘッズなどのパフォーマンスを描いたドキュメンタリーについて「トーキング・ヘッズのパフォーマンスを撮影した『ストップ・メイキング・センス』は、あれがトーキング・ヘッズの最後のツアーになったんだ。僕らもそうなる(その後にソロ活動や解散する)とは思っていなかったからね。僕はあの映画を撮る前にトーキング・ヘッズのコンサートをL.Aに観に行ったんだ。照明がとても素晴らしく、さらに音楽、ステージの構築まですべてが良かったんだよ。それがまるで映画のように見えて、これは撮影されるのを待っているかのように感じられたんだ」とコンサートに魅了された後、「それから、トーキング・ヘッズのボーカル、デヴィッド・バーンに会って、予算を集めて撮影できないか相談した。実際にはトーキング・ヘッズがほとんど予算を集めてくれたんだ」と彼らのおかげで制作が決まり、実際の撮影準備に入る。「いつも(ツアーでは)デヴィッド・バーンがステージの照明の位置を決めていたんだが、映画『ブレードランナー』などの撮影監督ジョーダン・S・クローネンウェスがこの映画にかかわったことで、彼がいろいろ照明をセットアップしたが、(その照明が理由か)撮影初日の観客がノリが悪く、バンドの演奏も良くなかったんだ……。だから僕らは、それなら観客を忘れて撮影しようではないかということになった。だから、観客がパフォーマンスを観ているシーンは、最後の方にしか出てこないんだよ」と述べたが、結果的にはこの撮影手法が高い評価を得ることになった。

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 また、トマス・ハリス原作の「羊たちの沈黙」を読んで、それまで描かれた連続殺人犯を描いた映画とは異なったアプローチをしたことについて「まず最初に、トマス・ハリスの『羊たちの沈黙』は、アメリカを代表する小説だと思っているんだ。それまでトマスは、男性が活躍する小説ばかりかいていて、ある人から面白い女性のキャラクターが少ないと言われたことから、あのジョディ・フォスターが演じたクラリス・スターリングが生まれたんだ。当時、ジョディはこの役のためなら、どんなことでもすると言っていたよ(笑)。このストーリーは、若い女性クラリスがある誘拐された女性を助けるために動き出すが、あらゆる男たちが彼女の捜査を邪魔する。その構成が、僕にクラリスの観点からできるだけ多く撮影すること決めさせたんだよ。だから、人々がカメラ(クラリス)を見つめているシーンや、クラリスがカメラ(人)を見つめているシーンが非常に多いんだ。彼女の苦悩を(観客が)わかれば、より強烈な印象を残せるとも思ったんだ。ただ何よりも、ジョディ・フォスターの演技がこの素晴らしい原作の重要なカギになったと思っているんだ」と個人的にも思い入れのある作品になったようだ。

 最後に、個人的には彼にもう少し他の作品について話してほしかったが、できるだけ観客を楽しませようとするジョナサン・デミ監督の人柄がにじみ出て、素晴らしいイベントとなった。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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