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製作費たったの110万円の邦画『ふゆの獣』がコンペ作に!ロッテルダム国際映画祭で大人気ソールドアウト!

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左が内田監督、右がシゲさん役の佐藤博行
左が内田監督、右がシゲさん役の佐藤博行 - Photo:Harumi Nakayama

 オランダで開催中の第40回ロッテルダム国際映画祭のコンペティション部門タイガー・アワードに日本作品から唯一選ばれた内田伸輝監督『ふゆの獣』が上映され、4回の公式上映すべてのチケットがソールドアウトとなる人気を博した。

 同作品はすでに昨秋の東京フィルメックス映画祭で最優秀作品賞を受賞した話題作。映画『かざあな』で長編監督デビューした内田監督の3作目となる作品で、製作費110万円で14日間で撮影。役者はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のmixi(ミクシィ)で募集してオーディションで選んだ男女4人が出演。内田監督による大筋にそって、キャラクターに成りきった役者自身がリアルな感情を乗せたセリフを発しながら、スリリングなラブバトルを展開するパワフルな作品だ。

 フィルメックス受賞後の慌ただしい日々の中でロッテルダムへの参加が決まり、年末年始を挟んでいたために役者たちのパスポート取得が間に合わず。今回は代表して、内田監督と俳優の佐藤博行が現地入りした。内田監督は「映画を作っている最中からロッテルダムを意識していたので、コンペ入りが決まったと聞いたときはうれしかったですね。規模が大きくてビックリ。街全体からお祭りという感じが伝わって来ます」と感激しきり。

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 上映は、クライマックスの修羅場で、真剣だからこそ本人たちも思ってもいなかったような突拍子もないセリフがポンポン飛び出して、場内は大爆笑に包まれた。内田監督も「フィルメックスで上映した時よりもリアクションがいいですね。でも僕らはコメディだと思って作ってないんです。編集して後から見たら笑えると気付きまして(苦笑)。でも日常生活でも、人が怒っている内容をはたから見ていると、内容がくだらなすぎて笑っちゃうことがありますよね。修羅場は、なおさら面白い(笑)」と、好反応にニンマリ。劇中で、2人の女性にちょっかいを出しつつ、肝心な時に逃亡を図るという姑息な男シゲさんを演じた佐藤は、上映後の質疑応答で「シゲは典型的な日本男性ですか?」という質問を受けて、思わず苦笑い。佐藤は「シゲみたいな男はそんなに多くないですけど、ただ、ボクの知り合いにも似たような人はいます。ボク自身は2人の女性から言い寄られるなんて経験はないので、演じがいがありました」と日本男子が世界からあらぬ誤解を招かぬように説明していた。

 同作品の日本公開は未定。しかし新人監督を対象としたタイガー・コンペティションからは、『萌の朱雀』(97)で河瀬直美監督、国内外の映画賞を総ナメにしている韓国映画『息もできない』のヤン・イクチュン監督、同じく韓国の『豚が井戸の落ちた日』のホン・サンス監督らを輩出しており、若手監督の登竜門と言われている。「人間がむき出しの感情を晒しているような映画を作っていきたい」という内田監督の今後に期待したい。(取材・文:中山治美)

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