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川端康成×太宰治×芥川龍之介×室生犀星作品を落合正幸×塚本晋也×是枝裕和×李相日の4監督がオムニバス映画に!

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後列左から:李相日監督、是枝裕和監督、前列左から落合正幸監督、塚本晋也監督
後列左から:李相日監督、是枝裕和監督、前列左から落合正幸監督、塚本晋也監督 - Photo:Harumi Nakayama

 落合正幸塚本晋也是枝裕和李相日が挑んだオムニバス映画『妖しき文豪怪談』が第40回ロッテルダム国際映画祭でインターナショナルプレミア上映が行われ、4監督が現地入りした。同作品は昨年秋の東京フィルメックス映画祭で招待上映されているが、4監督が勢ぞろいするのは初めて。しかも『悪人』が本年度の映画賞を総ナメしている李監督は授賞式出席ラッシュに追われておりたった一日だけの映画祭参加で、ロッテルダム限定の奇跡の4ショットとなった。

 同作品はNHKが制作し、昨年夏にNHK BS hiで4夜連続で放映されたもの。だがもともと劇場公開を想定して企画されたもので、そこで4人の映画監督に声が掛けられたという。さらに劇場公開するにあたり、ドラマ版で使用した音楽の著作権の問題もあって、新たな音楽を付けるなど再編集バージョンでの上映となった。

 4監督が手掛けたのは、川端康成原作『片腕』(落合監督)、太宰治原作『葉桜と魔笛』(塚本監督)、芥川龍之介原作『鼻』(李監督)、室生犀星原作『後の日』(是枝監督)。作品を選んだ理由も「川端文学と言えばキレイな文章で書かれた小説のイメージが強いが、『片腕』は異質で腕への偏愛を綿々と書き綴っている。これをいかにビジュアル化するか、チャレ
ンジしたかった」(落合監督)、「8歳の子どもが入院したとき、隣のベッドの子が亡くなり、その子のことが引っかかり何か出来ないかと考えていた。またそのころ、8年介護していた母親が亡くなり、当時の自分が大切に考えていることがこの作品を通して描けるかもしれないと思った」(塚本監督)、「2時間の映画で一度もやったことのない、特殊メイクに挑んでみたかった」(李監督)、「生きている人間が、死者が戻ってくることでイキイキし始めるのが面白いと思った」(是枝監督)とさまざまだ。

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 しかし、会話を続けていくと、どうも本音は違うようで、李監督が「僕は最後に参加したので、芥川の作品しか残っていなかった。好きな作品だから良かったんですけど」と言い出せば、塚本監督は「本当は『片腕』がやりたかった。でも落合監督がやることがもう決まっていたからなぁ(苦笑)」と内情を暴露した。

 同作品のエグゼクティブ・プロデューサーであるNHKエンタープライズの浜野高宏によると、まずは国内での劇場公開を目指し、その反応を見てか今後の展開を考えたいという。本企画の発案者でもある落合監督は「日本の場合、霊と言えば『四谷怪談』のように罪を犯した人が自責の念にかられて見えてしまうという話が多いが、今回の4編はある種の超常現象だったり、心温まる話があったりと、それぞれによって『怪談』の解釈に個性があって面白かった」と新たな試みに手応えを感じたようだ。また是枝監督も「『怪談』は、タイプの違う4監督を結びつけてしまうくらい、懐の広いジャンルだと思う」と感想を語った。

 もっとも4監督の間ではすでに次回の企画について盛り上がっているようで、「4人それぞれが『片腕』を作るという選択もある」(是枝監督)や、「次は明治・大正の少女モノとか、変態少年耽美モノとか(笑)」(塚本監督)という案が出ているという。第2弾に期待したいところだ。(取材・文:中山治美)

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