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日本兵殺害が弁護士としてのポリシーを固めた!名弁護士のドキュメンタリーを娘が語る!

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サラ・クンスラー監督とエミリー・クンスラー監督
サラ・クンスラー監督とエミリー・クンスラー監督 - Photo:Nobuhiro Hosoki

 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、マルコムX、シカゴ・セブンなどを顧客にもっていた弁護士のウィリアム・クンスラーを描いたドキュメンタリー映画『William Kunstler: Disturbing the Universe』(原題)について、エミリー・クンスラー監督とサラ・クンスラー監督に話を聞いた。二人はウィリアムの実の娘である。

 公民権運動やシカゴ・セブンなどの弁護を務めたことで、英雄視されていたウィリアム。だがその一方で、テロリストやマフィアのボスであるジョン・ゴッティなども担当していたため、世間からの評価は真っ二つに分かれていた。エミリー監督は「十代のころのわたしたちは、父には何事もはっきりと白黒つけてほしかったし、さらに善行をして、常にヒーロー的な存在であってほしいと要求していたと思うわ。テレビなどから聞く父への批判的な言葉は、わたしたちを複雑な心境にさせた。父がどういう信念でテロリストやマフィアを弁護することにしたのかを後々知って、理解できるようになるまで……」と吐露する。ウィリアムが批判されてもテロリストやマフィアを弁護した背景には、どんな人物であろうとも、人として公平な裁判を受けることができる環境を作るという信念があった。

 キング牧師の公民権運動の弁護について「キング牧師が指定した特定の訴訟にだけ、法廷弁護士として参加していたの。キング牧師から直接電話で依頼を受けてね。父からはキング牧師の危険な状況をよく聞かされたわ。その中で印象的なのが、キング牧師が家族や公民権運動の仲間たちと食事をするときの話。彼らは部屋中の明かりを消して、真っ暗闇の中で食事をしていたんですって。明かりがあることで、所在がわかって殺されないために。そんな暗闇の中でも公民権運動の仲間たちは、共に語り合い、信念を高め、強さを得ていったと父は教えてくれたわ」とサラ監督が振り返る。

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 ウィリアムは第二次世界大戦で従軍した経験があり、日本兵とも戦った。「太平洋区域で従軍していた父は、日本兵を銃剣で殺してしまったの。もし父が殺さなければ、父が逆にその日本兵に殺されていたかもしれないけれど、父はそのことにショックを受けていたわ。その日本兵のために、何かしてやらなければいけないと思った父は、亡くなった日本兵の財布を持ち帰って、戦後家族に渡しに行ったの。そのときから、敵であっても人として見る、それが弁護士としてのポリシーになったのね」と衝撃的な出来事を教えてくれた。

 ウィリアムは映画に出演したり、テレビ番組のコメンテーターなどを務め、メディアの露出の多い弁護士として知られた。彼の死後、その葬儀には公民権運動で活躍した人物や著名人らが集まり、その偉大な足跡に敬意を表していた。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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