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アカデミー賞有力候補作品!きっかけは全裸で血を流し股間を隠していた少女

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リー・ダニエルズ監督
リー・ダニエルズ監督 - Photo:Nobuhiro Hosoki

 トロント映画祭で観客賞を受賞した映画『プレシャス:ベイスド・オン・ザ・ノベル・プッシュ・バイ・サファイア』(原題)について、第47回ニューヨーク映画祭(47th N.Y.F.F)でリー・ダニエルズ監督が語った。本作は、両親の虐待から立ち直ろうとする黒人少女の物語。家族や教育問題を絡めた感動のヒューマン・ドラマで、アカデミー賞有力候補との声もある。

 映画化が難しいと言われていた原作にチャレンジしたのには、ダニエルズ監督の過去の体験が関係しているという。「僕が11歳のとき、近所に住む少女が僕の家に飛び込んできたんだ。彼女は全裸状態で、血を流していた。そして自分の股間を隠すように泣いていたんだよ。彼女は自分の母親に殺されるって叫んでいた。僕は目を疑ったよ。言葉にすることができないね……。その感情がこの映画の原作を読んだときによみがえったんだ。だからこの映画の制作には、僕にとってのヒーリングの意味もあるんだ」と興味深いエピソードを明かすダニエルズ監督。

 重いテーマを扱った作品ではあるが、撮影現場の雰囲気はどうだったのだろうか? 「セットはとても明るかったよ! 最初から最後まで笑っていられたしね。出演するマライア・キャリーやレニー・クラヴィッツがメイクや衣装を手伝ったり(笑)。まるで舞台の準備でドタバタしているようなにぎやかさがあったよ。逆に真剣になり過ぎていたら、作品の方向性を間違っていたかもしれない」とダニエルズ監督。

 本作の上映終了後、観客からは大きな拍手が沸き起こった。質の高い作品が集まるニューヨーク映画祭で確かな評価を得たダニエルズ監督。昨年のトロント映画祭で観客賞を受賞した映画『スラムドッグ$ミリオネア』はオスカーを受賞している。本作もその例に漏れず、オスカー受賞となるか? 楽しみな作品だ。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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