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『殯の森』河瀬直美監督が“魔性の女”っぷりをちらり?【山形国際ドキュメンタリー映画祭】

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河瀬直美監督と、「垂乳女(たらちめ)」のプロデューサーで、フランスの放送局「アルテ」の編成プロデューサー、ルチアーノ・リゴリーニ氏(山形市中央公民館にて)
河瀬直美監督と、「垂乳女(たらちめ)」のプロデューサーで、フランスの放送局「アルテ」の編成プロデューサー、ルチアーノ・リゴリーニ氏(山形市中央公民館にて)

 開催中の「山形国際ドキュメンタリー映画祭」で8日、河瀬直美監督作『垂乳女(たらちめ)』(インターナショナル・コンペティション部門作)のプロデューサーを務めた“育ての親”で、仏公共放送局「アルテ」のルチアーノ・リゴリーニ氏が河瀬直美とともにシンポジウムを行い、映像作家・河瀬直美の魅力を語った。

 リゴリーニ氏には同局で「La Lucarne」というドキュメンタリー番組を担当し、過去、ロシアのアレクサンドロ・ソクーロフ監督など世界の名だたる監督たちと、約10年に渡って一緒にドキュメンタリーを製作してきた大物プロデューサー。そんな彼が河瀬監督を見初めたのは、河瀬監督の回顧展が行われた、2000年のスイス「Vsions du Reel」映画祭。リゴリーニ氏は河瀬監督が生き別れた父親を捜し出すドキュメンタリー『につつまれて』(1992)に衝撃を受けたという。

 リゴリーニ氏は「あの映画に出会って、私の人生は大きく変わりました。“生”と“芸術”が密着した作品で、その彼女の哲学、心の傷、そして世界観が好きだった」と当時を振り返り、河瀬は「いきなり道ばたで声をかけられて“君は自分の作品の中でどれが一番好き?”と聞かれて“自分の作品は全部好きやん。失礼なおっちゃんやな”と思った。でもそれから映画祭期間中、わたしにつきまとい“『につつまれて』の続編を撮らないか?”って。帰国してからは直接、電話攻撃を受けた(苦笑)」と述べた。

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 その後、試行錯誤しながら完成したのがルチアー二氏がプロデュースを務めた『きゃからばあ』(2001)。以後も2人は交流を続け、河瀬監督の出産と養母の介護を通して命を見つめた『垂乳女(たらちめ)』へとつながっていく。

 リゴリーニ氏は「フィクションと違い、ドキュメンタリーは編集で成り立つ。直美には編集に関する才能があると思う。言葉は違うが、クリエイティブな部分で非常に刺激になる」と河瀬監督を褒めると、河瀬も「日本のプロデューサーは“お金をかけるな”とか製作の状況で監督を追い込むが、ルチアー二氏は作品のクオリティを高めるために監督を追い込んでくれる。私生活で離婚をし、映画を作りを止めるようかと思っていたあの時期に出会い、私を飛躍的に成功へと導いてくれた人」とリゴリーニ氏に感謝の意を表した。

 まさに相思相愛の映画監督とプロデューサーの理想的な関係だが、今、リゴリーニ氏は懸念事項があるという。河瀬監督は本年度カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作『殯(もがり)の森』(2007)に続き、長谷川京子主演『土日風水(仮)』を製作と、フィクション作品続き。「以前、”もう映画を作ることで苦しみたくない”と言っていた。(己をさらけ出さない)フィクションの方が楽だし、このままドキュメンタリー作家じゃなくなってしまうのではないか?」

 それを聞いた河瀬監督が、すかさず「じゃあ今度は、私とルチアー二の愛の物語をドキュメンタリーにしようか?」と提案すると、リゴリー二氏は「Oh!ナオミ~」と公衆の面前での愛の告白に戸惑いつつ、まんざらでもない様子。河瀬監督の“魔性の女”っぷりをかいま見る一コマだった。

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