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AI崩壊 (2020):映画短評

AI崩壊 (2020)

2020年1月31日公開 131分

AI崩壊
(C) 2019映画「AI崩壊」製作委員会

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.2

相馬 学

近未来版『逃亡者』の妙味

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 オリジナル脚本で、これだけのサスペンス大作を作れたことに、まず感心。近未来をシリアスに検証しようとする入江悠の意欲に、素直に拍手を贈りたい。

 A.I.に対する世の反応の描写がとりわけ興味深く、インフラ化反対派の抗議活動や、さらに広がった格差に、起こりうる未来が透けて見える。A.I.支持派では、“崩壊”後の人体への悪しき影響の描写に恐怖を覚えた。

 真犯人がいきなり自分でベラベラと種明かしをしてしまうのは減点だが、それでも一気に見せ切るだけの機動力がドラマに宿る。大沢たかおがハリソン・フォードに見えしまうような『逃亡者』を思わせる緊迫描写もあり、最後まで目が離せない正統派エンタメ。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

"挑戦”成功

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

『22年目の告白』の成功という大きな実績を武器にして、入江悠監督が完全オリジナル脚本で挑んだ近未来SFパニックサスペンス大作。
邦画が苦手とするジャンルであり、オリジナル脚本でのここまでの大型企画ということもあって、大きな障害がいくつもあったと思いますが、見事にやり切りました。
隅々まで結構な豪華キャストを揃えていますが、無駄使いな感じはなく、結果としてゴージャスなオールスター映画に仕上がりました。
大作モードの入江監督も安心感を感じられるようになりましたね。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

近未来SFというジャンルを通して日本の行く末を憂う

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 さながら日本版『マイノリティ・リポート』といった按配の大型SFサスペンスだが、近い将来に実際起こりうるAIの暴走という設定はあくまでも話のきっかけであり、本質的には全体主義的で合理主義的な管理監視社会へと傾きつつある現代日本の行く末を憂う作品と言えるだろう。そういう意味では、文明崩壊後のディストピアを現代の格差社会になぞらえた佳作『太陽』の系譜に属するとも言え、なるほど入江悠監督らしい社会派的な視点がたっぷり盛り込まれている。その一方で、ジャンルのクリシェから脱却できていないように思える展開も多く、新鮮な驚きや意外性という点においては正直なところ物足りない。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

可能性がないとは言いきれないAI暴走

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

ガン再発の可能性を調べるためにAI使用が検討されているらしく、医療用AIが暴走したら怖いなと思わせるドラマだった。少子高齢化への憂慮や政治不信も上手に背景に取り込みつつ、親子愛と人類愛に帰着させる脚本もよくできている。近未来の話なので、昆虫サイズのドローンなどの“開発されそう”な小道具も面白い。警察組織の新旧対比はお約束っぽいし、大沢たかお演じる主人公の娘の行動に「はぁ?」となる部分があるにせよ、製作側が発信するメッセージはきちんと伝わる。AI脅威論について考えさせられたし、結局はプログラミングする人間の資質が問われるんでしょうね。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

トムクルと化す大沢たかお

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

長編デビュー作『ジャポニカ・ウイルス』から14年、じつはエンタメ志向な入江悠監督がふたたび日本をパニックに陥れる本作。このご時世、オリジナル脚本で、このキャスト&スケールの大作を手掛けた功績は認めるが、それ以外のものはなし。ユルいロードムービーと化す展開など、厳しかったデビュー作の名残りも見え隠れし、あまりに無能すぎる警察の描写など、トホホ感も際立つ。ワーナー&日テレ×大沢たかお&松嶋菜々子のパッケージ感など、いろんな意味で『藁の楯』に近い仕上がり。『マイノリティ・リポート』な逃走劇を繰り広げる大沢や、ひたすらクールな岩田剛典目的なら、それなりに楽しめるので、★おまけ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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