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『空に住む』多部未華子 単独インタビュー

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『空に住む』多部未華子 単独インタビュー

プレッシャーを感じたことはほとんどない

取材・文:浅見祥子 写真:高野広美

EXILEほか多くのアーティストに詞を提供する小竹正人が手掛けた同名小説を、青山真治監督が映画化した『空に住む』。この映画で多部未華子が演じるのは両親を亡くし、タワーマンションの高層階で愛猫のハルと暮らし始める直実。郊外の小さな出版社に勤める彼女は同じマンションに暮らすスター俳優、時戸と出会う……。“空に住む”ような日々のなか、恋に仕事に生きることにゆらゆらと翻弄される主人公の印象や、作品について多部が語った。

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撮影中も、ずっと考えていた

多部未華子

Q:映画『空に住む』の脚本を読んだ印象は?

最初はすぐには理解ができませんでした。もちろん話は理解できるのですが、なにを伝えたい作品なのだろう? と考えてしまって。でもそれこそ映画の醍醐味であり、映画の世界で活躍される監督とお仕事をするのも久しぶりだったので、楽しそうだなと思ったのを覚えています。

Q:「脚本をよく理解できなかった」とは?

実は撮影中もずっと考えていました、観る方にどのように響くのだろう? と。この作品には、どこか文学的なものや哲学的なところがあるんですよね。セリフに抽象的な言葉が並ぶのに会話が成立するシーンがあったりして、どういうことだろう? と考えてしまって。私自身が単純で、好きなら好き、悲しいとか嬉しいという表現もベタなものが好きだからだと思うんですけど(笑)。

Q:岩田剛典さん演じる時戸は、なかでも抽象的なことを言いますよね。

時戸を理解するのはちょっと難しく、まるでファンタジーのような存在です。だからこそ彼の言葉が私自身には響きませんでしたが、直実には心に響くのだろうと思いながら演じていました。

Q:理解できないことは、監督に質問を?

しなかったですね。セリフや感情の変化等、意図がわからなくても尋ねません。この作品だからそうなのではなく、いつもそうした質問はしないんです。岩田さんとは監督との顔合わせの時に初めてご一緒したのですが、たくさん付箋のついた脚本を持っていらして、色々と質問されていました。それを見て、これはまずい……と思ったのを、今思い出しました!(笑)

Q:そこで「自分も質問しなきゃ!」と?

その時も話の内容を理解する前だったので、質問したいこともわからないという感じで「特に質問はないです」と言って(笑)。監督には撮影が始まってからも、「どう?」と聞かれるのでもなく、「質問があったら言ってね」と気を使われるわけでもなくて。でも、それが私にとっていい距離感だったんです。

直実はいちばん人に左右されずに生きられる人

多部未華子

Q:直実は両親を亡くし、タワーマンションに暮らして、スター俳優である時戸と出会います。心情の変化にはすんなり寄り添えましたか?

両親を亡くしても泣けない、感情を表に出せないというのは理解できませんでした。岸井(ゆきの)さん演じる直実の後輩、愛子のこともよくわからなかったです。こういう人っているんだ、現実に会ったことないな……という感じで。美村(里江)さん演じる伯母の明日子も、こんなにずけずけ入ってくる人っているのかな? って。理解できないまま撮影を終え、大丈夫だろうか……? と心配でしたが、出来上がった映画を観たら、意外と一人ひとりの気持ちがわかったんです! 100はわからないけど10はわかる、よかった……と。

Q:ストーリーの中で直実を観て、改めてどんな印象を抱きましたか?

直実は、この物語の中でいちばん人に左右されずに生きられる人、なんですよね。意外と強い。演じているときはよくわからなくて、なかでも時戸との関わり方は不思議だなと思っていたんですけどね。

Q:直実の強さは多部さん自身のそれを反映しているのかも、と思ったのですが?

自分で、強い人間です! とは思いませんが、弱くもないかもしれません。でも周りに影響されないところはありますね。例えば人に意見を聞いても、その答えを全ては聞いてなかったりしますから。そういう意味では、ブレないのかもしれません。もともとそういう人間で、プライベートでこれがしたい! と思ったらするタイプ。人に合わせられないのでなかなか普通の仕事はできないと思います(笑)。

Q:女優さんは、監督の演出に従う必要があるのでは?

もちろん、監督の言うことがいちばんだと思っているので、自分と違う考えであっても、なにそれ!? とは思うことはありません。

映画は、曖昧なまま事が進んでいい

多部未華子

Q:改めて映画を観た感想は?

よくわからないまま撮影し、出来上がった映画を観たとき、他のキャラクターを含めて100のうち15くらい理解できて。

Q:さっきより、5段階増えてますね?

10って言ってました?(笑)。でも映画ってそれくらいでいいんだって思えたんです。3か月、外出自粛の期間を含めると半年ほどドラマの現場にいて、わかりやすいことが当たり前だと思っていました。セリフも会話もわかりやすく、視聴者の方にすぐ届けられ、ハッとさせたり考えさせたりできる。それがドラマのいいところだと思います。でも映画は「ん? どういうこと!?」「あれってどういう意味だろう?」と、曖昧なままでも事が進んでいく。それでいいんだ、と自分を肯定できたというか。

Q:ドラマと映画とでは求められる演技が異なるでしょうが、どちらが好きですか?

どっちも好きで、どちらも楽しめます。そのあたりの違いはあまり関係ありません。

Q:ドラマ「私の家政夫ナギサさん」は話題を呼びました。

「知り合いのお母さんが大好き」とメールをいただいたりします。嬉しいですね。ほのぼのしているのがいいのかな? と思ったりします。坪井(敏雄)監督とも「なんでだろうね~?」とほのぼのしていました。みんなが楽しんでいた現場だったんです。

Q:あのドラマも主役でしたが、大きなプレッシャーを感じていたわけではなかったのですか?

プレッシャーを感じたことはほとんどないです。舞台の本番前に、緊張するな……というのはありますが。面白いと思う人も、面白くないと思う人もいる。自分もそうで、作品の評価は人それぞれですから。そこで一喜一憂してもしょうがないと思っています。

いままでと変わらず動いていきたい

多部未華子

Q:女優業はこの先、一生やるイメージを持っているのでしょうか?

それはわからないです、と言いながらもう15年ほど経っているので、きっとやるんでしょうね。それでもわからないですけど。やっぱり欲しいものは自分で買いたいし、そういう意味では働かないと! 仕事は生活の一部、ということかもしれません(笑)。ただ一つの作品に入ったらしっかりと最後まで責任を全うしたいと思っています。自分の納得できる形で終わりたいので。

Q:30代になって、意識に変化はありましたか?

20代後半は、「30歳までにはこうして……」などと考え過ぎていて、30歳になった途端どうしていきたいか? さまよった自分がいました。それで31歳になりましたが、あれっなにも決めてなかった! というまま今に至ります(笑)。

Q:30歳を超えるとラクになると言いますが?

ラクかラクじゃないか? と言ったらとてもラクです。20代後半は特になにかに悩んでいるというのでもなく、ずっともやもやしている感じでした。職業に関係なく、女性なら誰にでもあると思うんですけど。それで「30を超えたらラクになるよ」と周りの人にたくさん言われて本当にその通りでしたが、では自分の性格や環境が変わったのか? というと、私生活の変化も仕事に影響しないですし、特に変わっていないなと思います。

Q:この先の30代、今のところはどんなふうにやっていこうと?

いままでと変わらず動いていきたいです。直感で生きているので、「わっ! やりたい」と思ったらやるし、思い悩んだりしないんです。簡単な話、服を買うにも悩まないんですよ。

Q:映画とテレビドラマと舞台と、その辺りのバランスは?

舞台は特に勉強になるんですよね。ドラマは時間に追われるところがありますが、舞台は毎日同じ人と同じ芝居をして、それで発見があり、毎日小さな失敗と成功があります。だからこそ舞台はやっぱりやりたいし、映画やドラマもやっていきたい。夏は暑いのでちょっと……休みたいな、と思ったりしますけどね(笑)。


多部未華子

多部未華子はとても正直な人だ。宣伝だから、と本心を隠してうわついたことを話したり、適当にごまかしたりする気がないように見える。物言いはストレートで、言い訳がなく、迷いもない。どこか童顔で愛くるしい顔立ちなのに、中身はスパッと竹を割ったよう。だからこそ、どんな監督のどんな演出をもど~んと受け入れ、堂々と画面の中に存在できるのかもしれない、そう思わせる人だった。

ヘアメイク:渡辺真由美(GON.)/スタイリング:岡村春輝

映画『空に住む』は10月23日より全国公開

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