『嘘八百 京町ロワイヤル』広末涼子 単独インタビュー

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『嘘八百 京町ロワイヤル』広末涼子 単独インタビュー

休んだ期間が変化のきっかけ

取材・文:早川あゆみ 写真:日吉永遠

中井貴一佐々木蔵之介が冴えない古美術商とくすぶった陶芸家にふんし、圧巻の騙し合いを繰り広げたコメディーの続編『嘘八百 京町ロワイヤル』で、美しきマドンナを演じる広末涼子。形見の茶器を騙し取られた京美人として現れるものの、ミステリアスな雰囲気で二人を翻弄する女性を演じている。振り幅の大きい役に挑んだ広末が、大人のエンターテイメントとしての作品の魅力や、役づくり、美しく年を重ねる秘訣までたっぷりと語った。

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女優冥利に尽きる役

広末涼子

Q:この役のオファーを受けたポイントはどこでしたか?

前作を拝見して、主演の中井貴一さんと佐々木蔵之介さんをはじめとしたみなさんの力量の高さによる芝居合戦が面白く、大掛かりな仕掛けでごまかさない部分で、“ザ・邦画”という作品だと思いましたし、とても楽しめました。贅沢感のある大人のエンターテイメントですから、そこに参加させていただけることはすごくうれしかったです。緊張もありましたが、光栄だと思いました。

Q:演じた志野は、とても多面性のある役ですね。

そうなんです。女優冥利に尽きると思いました。ただ、和服の所作や茶道の作法など、説得力のある立ち居振る舞いが必要で、そこはしっかり練習しました。「タバコを吸う」というのも、普段は吸わないのでハードルが高かったです。流れで自然に手が動くようにしなくてはならず、これも猛練習しました。

Q:タバコの練習は、どんなふうに行ったのですか?

家でも、外でもなかなかできないので、京都のロケのときに、生まれて初めて喫煙ルームに泊まってやりました。部屋の片側に茶道の道具、反対側にタバコのセットを置いて、お茶の練習に疲れたらタバコを吸って、喉が痛くなったらお茶をたててと、交互に。我ながら「女優って不思議な仕事だな」と思いました(笑)。

プレッシャーはすごかった

広末涼子

Q:多面性のある役は、演じるうえでは苦労も多いのかと思います。

それがそうでもないんです。技術的なことを身に付けて説得力があるように見せるという部分は女優業と共通点があるので、違和感なくできました。

Q:中井さん、佐々木さんとの共演はいかがでしたか?

お二人とも本読みの段階から圧巻でした。2作目ということもあるとは思いますが、セリフのスピード感、テンポ感が抜群で、呼吸がすでにできていらっしゃったんです。わたしが足を引っ張ってはいけないというプレッシャーはすごかったです(笑)。みなさんご存じの通り、お芝居の腕が立つ方々なので、ついていくのが精いっぱいでした。しかも、ほかではなかなか経験しないくらいスピーディーに撮影が進んで……自分なりのお芝居を練って固めて現場に入ったつもりでも、一瞬ではじけるように本番が終わってしまって、どんな画になるかまったくわからないんです(笑)。そんな中で、お二人は難なく、NGも一切なくやっていらっしゃいました。監督をはじめとしたスタッフのみなさんもプロフェッショナルだからできたことだと思います。チーム力も感じました。

Q:得たものも大きかったですか?

もちろん。先輩方の完成度の高さは、全体を引き締めてくださるのに、見ている人には圧迫感ではなく安心感を与えるという、素晴らしいお芝居の密度でした。自分もいつか、そういうお芝居ができるようになれたらいいなと思います。この作品は、根底に技術的な完璧さ、本物のお芝居があってこそ生まれる笑いだと思いましたし、小手先じゃないものを確かに感じさせてくれました。

映画やドラマを観るのが大好き

広末涼子

Q:精力的に活動されていますが、そのエネルギーの源は何ですか?

わたしは映画やドラマを観るのが大好きなんです。この映画もすごく面白くて、観客としても楽しませていただきました。出演していろいろな勉強をさせていただいて刺激を受けたうえ、観ても楽しいという、まさに一石二鳥でした。若いころは、自分のお芝居を客観視できなくて、出演作を観ても後悔や反省ばかりだったんですけど、今は「もう終わったことだから仕方がない」って諦められる(笑)。反省はしつつも、「自分のやるべきことはやった」と潔く考えられるようになりました。

Q:いつごろから考えが変わったのですか?

もともと観るのが好きで、仕事を始めた10代の最初のころは「この作品ステキ、しかも自分が出てるなんてラッキー」と素直に思えたのですが、だんだんと自分の中でハードルを上げてしまって、枷(かせ)が必要だとか、メッセージ性がないといけないとか、勝手に重い鎧を着こんでいました。客観視できなくなっていたのはこのころです。お仕事をお休みさせていただいた期間が変化のきっかけでした。いい意味で、女優が自分の全部ではなく一部になって、女優である自分と、ひとりの女性としての自分という立ち位置を感じられるようになりました。

Q:ステキな感じ方ですね。

50代や60代になったら「まだまだ見えてなかったな」と思うかもしれませんが(笑)。でも最近は、年を重ねるのがすごく楽しみになりましたし、年を取ってもできるお仕事だと思えるようになりました。若いころはおばさんになるのが嫌でしたけど(笑)、今はそれも楽しめるようになったという感覚はあります。

美しさの秘訣

広末涼子

Q:美しさを保ちながら年を重ねる秘訣は何ですか?

基本的にポジティブだからかもしれません。南国土佐で育った楽観性があったからこそ、芸能界という荒波を乗り越えられたのかな(笑)。あとは、小さいころからスポーツばかりやっていたので、精神面と肉体面で自分と向き合ってきたことが良かったのかもしれません。結果を導くためにどう努力するか、どう体調を整えるか、時間をどう使うか。そういったことの攻略法を小さいころから会得していて、お芝居もそれと同じだと思っています。最近は、あまりスポーツはしていなくて、主に体幹トレーニングで体のバランスを整えています。

Q:最後に、映画のタイトルにちなんで、最近ついた楽しい「嘘」は?

嘘をつくのはエイプリルフールくらいです。でもそのときは、ここぞとばかりにたくさん仕掛けます。もちろん、ハッピーな嘘ばかりです。誰かが結婚するとか(笑)。周りが幸せになる嘘なら、楽しめる範囲で楽しみたいと思います。


広末涼子

自ら提案して、髪を伸ばして挑んだという志野役。劇中の和服でのはかなげな登場シーンには神々しいまでの美しさがあり、ドレス姿では大人の色気としたたかさを漂わせ、1作品の中でさまざまな表情を見せた。爽やかに笑っていたボーイッシュな美少女は、いつのまにか凜々しさとたくましさを備えた深みのある女優に。それでいて、吸い込まれるような瞳でこちらの目をまっすぐに見つめて、楽しそうに話す気さくな姿も見せる。この先の活躍も楽しみだと、素直に思える女優であり、女性だ。

映画『嘘八百 京町ロワイヤル』は1月31日より全国公開

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