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『バースデー・ワンダーランド』松岡茉優 単独インタビュー

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『バースデー・ワンダーランド』松岡茉優 単独インタビュー

涙をこらえられなかったクライマックス

取材・文:成田おり枝 写真:尾藤能暢

クレヨンしんちゃん』シリーズや『河童のクゥと夏休み』で知られる原恵一監督による最新アニメーション映画『バースデー・ワンダーランド』が完成した。自分に自信が持てない少女アカネが、カラフルでワクワクするようなワンダーランドに飛び込み、世界を救う冒険を繰り広げる姿を描く本作。アカネ役で声優として初主演を果たした、若手実力派女優の筆頭である松岡茉優が、原監督への信頼感や、尊敬する声優・山寺宏一への思いを語った。

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「絶対に無理はしないで」と懇願

松岡茉優

Q:原監督の初実写映画『はじまりのみち』に続いて、再タッグが叶いました。アカネ役にはオーディションで決まったそうですが、どのようなお気持ちで臨まれましたか?

久しぶりに原監督とお会いできて、とてもうれしかったです。今回もぜひまたお仕事がしたいけれど、原監督には「もし今回の役が私と違うなと思ったら、絶対に無理しないでください」とお伝えしました。ありがたいことに、原監督も「女優として尊敬しているし、松岡に損はさせたくない」とおっしゃってくださって。「これはもうご縁がないかな」と思っていたのですが、オーディションから2日後くらいに、決定のご連絡をいただきました。正直にお互いの気持ちを打ち明けながら、それでも「私に」と言ってくださったので、とても光栄に思いました。

Q:『映画 「聲の形」』をはじめ、これまでにも声のお仕事にチャレンジしています。声優のお仕事に取り組むときは、どのような意気込みをお持ちでしょうか。

なぜ、俳優に声のお仕事を任せていただけるんだろうと思うこともありますが、だからこそ自分がいただいたからには、精一杯、できる限りのことはしたいと思っています。実は、声のお仕事には苦手意識があったんです。でもそうやって悩んでいるときに、私の大好きな山寺宏一さんが「声優と俳優、どちらも演じることは同じ。地続きのものなんだよ」と言ってくださったことがあって。確かにテクニカルなことや経験値、知識は別のものだけれど、誰かを演じるということは、俳優も声優も同じなのだと思えました。山寺さんには、本当にいつも助けていただいています。

気持ちを楽にしてくれた言葉

松岡茉優

Q:今回も山寺さんにはご相談されましたか?

しました! 声のお仕事をするときは、いつも相談しています。今回演じるのは、小学6年生の女の子でしたので、「声を明るくしたり、幼い雰囲気をイメージしたほうがいいんでしょうか」と相談しました。私が初めて山寺さんとお仕事をさせていただいたのが13歳のときでしたが、山寺さんは「茉優の声って、そんなに変わった? 僕が思うに、13歳の茉優と今の茉優の声って、そんなに変わってないよ」と。「そんなに明るくしたり、高くしたりせず、気持ちだけを小学6年生に持っていけばいいんじゃない?」と言ってくださって、ものすごく気持ちが楽になりました。

Q:それは心強い言葉ですね。いざ臨んだアフレコは、どのようなものでしたか?

『はじまりのみち』の現場では、原監督は口数が少なくて、「こうしてほしい」という指示もあまりなく、役者に大部分を任せてくださったんです。でも今回は、本当に細かく、一行ずつ丁寧に演出してくださいました。アニメという原監督の主戦場でもありますし、私は安心して身を委ねていました。アニメのアフレコでは、音響監督さんが舵をとるイメージがありましたが、今回は原監督がすべて指示をしてくださったのも、印象的です。

緊張を解きほぐす秘訣は?

松岡茉優

Q:アカネは自分に自信がなく、すぐに「できっこない」と言ってしまう少女です。共感する点はありましたか?

アカネの気持ちは、よくわかります。私も自分に自信がないですし、一人では決められないことも多かったりします。でもお仕事をしていると責任が伴ってくるので、そうも言っていられないですよね。アカネも早く就職するといいかもしれません。また、アカネの心情で特に印象的だったのが、学校で女子グループ特有のモヤモヤした出来事に巻き込まれてしまうシーンです。女子グループ内でのいざこざって、女子ならば誰もが通ってきた道だと思うんです。リーダー格の子と、それに振り回されている子がいるとすると、私もアカネと同じく、その真ん中あたりにいるタイプでした。「どうしようかな」「嫌だな」と戸惑ったことを、よく覚えています。

Q:自信がないとのことですが、どんなことにも果敢にチャレンジしているイメージがあります。新しいことに挑む際には、緊張したりするものでしょうか。

します、します! でも緊張すると体もこわばるし、舌も回らなくなるので、なるべく無視するようにしています。また舞台では、その緊張が興奮になって、体ごとパンプアップするのかなと感じるので、舞台のときは緊張感を無視せず、正面から向き合うようにしています。先日まで関わらせていただいていた舞台、愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」の初日は、自分の心音が聞こえるほど緊張していて。アイドルの役でもありましたので、「私は小泉今日子、キョンキョンだ、キョンキョンだ」と自己暗示をかけてステージに上がりました(笑)。自己暗示って、効果的ですよ!

泣けてどうしようもないシーンがあった

松岡茉優

Q:アカネはワンダーランドでの大冒険を通して、成長していきます。本作には想像力を刺激するカラフルな世界が広がっていますが、松岡さんは「新しい景色が見えた」と感じる冒険をしたご経験はあるでしょうか。

新しい作品に飛び込むときは、いつも大冒険だなと思います。本作では初めてアニメーション映画の主人公をやらせていただき、新たに発見することばかりでした。例えば、息をのむ音。映像では「息をのんでいる」と表情で表現することができますが、アニメーションでは「息をのむ音」を出さないといけない。原監督とご一緒してすごく勉強させていただきましたし、今回覚えたことがきっと次にも役立つはずだと思うと、機会があればまたぜひ、声のお仕事にも挑戦させていただきたいなと感じました。

Q:とても貴重な経験となったようですね。そんな本作で、松岡さんがもっとも印象的なシーンを教えてください。

クライマックスに、泣けてどうしようもないシーンがありました。収録していても涙がこらえられなかったのですが、完成した映画を観たら、絵コンテや台本に目を通しているときにはなかった挿入歌が加えられていました。それはそれは、すばらしかったです。ものすごい濃度で攻めてくる。悲しみでもなく、怒りでもない、また別の種類の涙が出てくると思います。見たことのない世界が広がるし、原監督特有の優しさがあふれてきますので、ぜひたくさんの方に、この作品で浄化されてほしいなと思っています。


松岡茉優

『万引き家族』や『勝手にふるえてろ』などで数々の賞に輝き、たくさんの名監督に愛されている松岡茉優。どんな役柄にも真正面からぶつかり、実直に突き進む姿は、清々しく頼もしい限り。出演作が途切れないのも納得だ。本作では、そんな松岡が小学生の女の子役にトライ。見たことのない景色や人々との出会いを通し、戸惑いや恐れを乗り越えていく姿が描かれている。ポジティブなメッセージにあふれた本作と、松岡の相性もバッチリだ。

(C) 柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

映画『バースデー・ワンダーランド』は4月26日より全国公開

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